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積水ハウス100周年を目指して (19)前途多難の船出 | 愛する積水シリーズ
連載コラム
2008年4月30日 15:49

前号で述べたように、積水ハウスは和田会長(CEO),安部社長(COO)体制でスタートした。横文字を使われ馴染みがないが、CEOは最高経営責任者で経営上の意思決定において最高の責任を持つ。日本でも経済のグローバル化に伴い使われることが多くなった。COOは最高執行責任者。経営上の実務運営において最高の責任を持つ。和田会長(CEO)は代表権も持っており、安部社長(COO)に実務、運営に最高の責任を持たせているだけである。実質は従来通り和田体制のままと認識すべきだろう。

従来の社長職は、あらゆる権限を社長に集中させ、特に、役員、幹部の人事権を社長が持っていた。会長は対外的な仕事、業界のこと、経済団体の活動などを担当し、会社の経営には関与しないのが建前であった。組織を動かすためには人事権がなければならない。人事権がない社長なら、片肺飛行といわざるをえない。安倍社長がいかに現場主義による孤軍奮闘を試みても、積水ハウスに漂う沈滞ムードを払拭するには限界があるだろう。

幹部達が相も変わらず和田会長の顔色を窺い、自己保身の経営を続けるなら、積水ハウスの飛躍は期待できない。従来なら積水ハウスの戸建部門は、断然トップで他を寄せ付けず、競争各社も端から「積水ハウスには勝てない」と諦め、二番になることに汲々としていた。しかし最近では、二番手、三番手、四番手の住宅会社が積水ハウスを射程距離に見据え、「追いつけ、追い越せ!」と、社内で勢いづいていると聞く。

積水ハウスの地盤沈下が続いている。正に積水ハウスの本業が危うくなっているのである。このことに、いまの経営陣が危機感持っているだろうか。今の自由民主党のようなものではないか。時代は変わっているのに、従来の利権を優先し国民の動きが見えないでいる。自民党議員は誰も古い自民党の指導者に意見も言えないで顔色ばかり窺い、国民の目線に立てない。そんなことだから国民はどんどん自民離れをしている。このことは山口の補選で証明している。

積水ハウスの再浮揚は安部社長の手腕にかかるが、このような状況の下、前途は多難。夢と希望を乗せ出帆したが、すぐに暴風雨圏に入る。難破しないよう社員のバックアップと発奮に期待したい。

野口孫子  (敬称略)


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