コンプライアンスは、「従順、同意」と訳されるが、同時に、事業活動において法律を遵守すること、広くは倫理や道徳などの社会的規範を守って行動することをいう。
最近の日本社会は産地偽装、偽装表示、偽装請負、介護報酬違法請求、違法派遣と、正に「偽装」と「違法」のオンパレードである。グッドウィルや船場吉兆は最初は現場の従業員のせいにし、最終的には会社ぐるみだったことを認めた。その後の経過は新聞報道でご存知のとおりだ。法令遵守をないがしろにした企業の末路は悲惨というほかない。幸いに存続できたとしても経営トップは“失格”の烙印を押され、多くの従業員が犠牲となって職場を失う。
これら企業の不祥事の発覚は、多くが内部告発によるものだと言われている。2006年4月に公益通報者保護法が施行され、社会的に有益な「内部告発」をマスコミや官公署に通報した従業員を保護している。自社内の不祥事や違法行為を社員が外部に通報することは悩みに悩みぬいた末でのことだろう。これからの企業は、そうした社員の真摯な意見や思いを社内で吸い上げて、自ら襟を正していくことが求められる。
我々の心の中に、「わからないようにすればいい。自分だけがやっているのではない、よそでもやっている」といった悪しき考えが蔓延してはいないだろうか。一部個人のそうした意識が個人の集合体である企業組織を支配してはいなかっただろうか。社員としては違法性の認識がありながら「会社に居られなくなる」などの報復を恐れ、外部への申告をためらわせる原因となっていた。
しかし、これまでのように会社が社員に会社への忠誠を求め、社員の側としても終身雇用と引替えに身を粉にして会社人間としてふるまってきた時代は、団塊世代の大量定年を機に急速に終焉を迎えようとしている。内部告発の増加は、従業員の会社へのロイヤルティ(忠誠心)の低下を時代背景としている。
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