不可思議な資金の流れ
吉田福岡市長が平成18年11月の市長選挙で、暴力団関連企業から事務所を賃借していた問題は、未だに正式な会見もなく、市長サイドも民主県連も沈黙を決め込んでいる。
しかし、暴力団との関係の有無が問われている事件だけに、このまま終わらせてはなるまい。
問題のビル1階の賃貸料について、民主県連は翌19年の1月になって吉田市長側に80万円を支払ったとされる。当然、平成19年分の民主党県連の政治資金収支報告には記載されていることになる。同年の収支報告書は3月31日締め切りで、今年の秋には公開される。しかし、公党である民主党に疑惑が生じている以上、自主的に詳細を公表すべきであろう。それが市長選挙で、民主推薦というだけで吉田宏氏を選んだ有権者に対する責任というものだ。
ところで、民主県連は、なぜ市長選挙が終わってから何ヶ月も吉田市長側への支払いを放置していたのだろうか。
福岡市長選挙の告示は平成18年の11月5日、投・開票日は19」日である。
民主県連が問題のビルを正式に使用したのは、告示日からとされる。準備などで前後何日かプラスしても、2週間ちょっとの使用である。選挙は19日に終わっている上、便宜上吉田市長が借りて県連が使ったとする話が本当なら、早く精算するのが自然ではないだろうか。
県連の平成18年の収支報告書及び領収書を仔細に検証したが、同年の支出で、支払い義務が発生してから、実際の支払いが2ヵ月後というものはほとんど見当たらない。
たいていの支払いは発生月か翌月になっている。問題のビルの支払いだけが翌年と言うのはどう考えても不自然である。
第一、契約書もない、事実関係に説明もないとしたら、本当に金の流れがあったのかどうかさえ怪しくなる。だからこそ、会見等での釈明が求められるのである。
本当に賃料を払ったのか?疑問の声も
県連側が平成19年になって支払ったとするには、それなりの理由があるのではないかと指摘する向きもある。
つまり、マスコミの取材が本格化してから、あわてて「支出した」ことにしたのではないかという見方である。
政治資金収支報告書は1月から12月までの1年分を、翌年3月31日までに提出することになる。
1月の支払いということにすれば、翌年3月までに帳尻あわせができる時間稼ぎもできるというのである。もちろん、関係者が沈黙していれば報告書の公開実施期の秋まで(11月頃に公開される)、事実関係の確認ができない。時間が稼げれば、事態は終結するというのである。
天下の民主党や市長サイドがそのような姑息なことをするとは思えないが、説明から逃げていては、どう批判されても文句は言えないだろう。もともと、政治倫理にも公職選挙法にも反する可能性が高い事件なのだ。
吉田市長は、無責任にも民主党県連の江藤博美幹事長代理(福岡市議)に聞けと言う。それでは、その江藤氏の対応はどうなのだろうか・・・。