自己再生への意志
現実の経営では、いかなる戦略や計画、制度よりも人事一発の方が組織によりインパクトを与えることが往々にしてある。
今回の私的整理への道程も、バブルという時代の産物によって負の遺産を抱えたことに加え、城山というブランドにあぐらをかいて企業承継システムが確立されていなかったこと、足元の人間関係の調和を誤ったという点について指摘しなければならない。
であるからこそ、再生の道もこれらを正すことから始めなければならなかった。城山観光(株)が私的整理という道を選んだのは、形式上は倒産というかたちを回避して城山ブランドを維持する意図もあっただろう。
しかし最も大きかったのが、金融機関を主体とした債権者と債務者(同社)との再生へのベクトル合わせ、そして現場の人間の結束によってもたらされる組織の自己再生への意志であろう。同業関係者が、「城山さんは経営危機に陥ったからこそ、従業員が危機感をもち一体感が出た。また、地元の金融機関、企業や市民の応援もたしかにあった」と評するほどだった。
ただし、たとえ再建が1年前倒しで行なわれたからといって、それが誇らしいとは決して言えない。私的整理というマイナス地点から1年早くゼロ地点に戻っただけのことである。
「当社はようやく退院してリハビリ段階に入っただけのこと。他人に自慢できるようなことではないし、計画自体が甘かったのではないかと言われる懸念もある」(同社)と、慎重な姿勢を崩さない。しかし、計画が甘かったとは思わないし、一度崩れたものを再生させることは並大抵のことではないはずだから、前倒しに関しては素直に敬意を表したい。
ただ一方で、ある地場ホテル業者は「2011年の九州新幹線全線開通に向けて、鹿児島のホテル業界は再編期を迎えている。地場のホテルや旅館は苦戦を強いられるだろう。2011年がひとつのヤマ場になることは間違いない。それは城山さんも例外ではない」と、厳しい観測をする。
つづく