真の「企業再生」とは
城山観光(株)は、ホテル事業とパチンコ事業を2枚看板にして、その他の事業からは手を引く。ゆえに、この2つの事業は死守しなければならない状況に立たされている。
しかし近年、鹿児島の地場パチンコ業界は低迷を続けており、同社のライバルである長島商事㈱の「グラハン」も「このごろはパッとしない。売上も相当減っているだろう」(地元関係者)とささやかれている。一方で、昭和市丸交通や鶴丸交通を有する市丸グループが展開する「T-MAX」は、堅調な成長を遂げていると聞く。さらに県外企業の進出も競争に拍車をかけているようだ。
そのなかにあって同社は、パチンコ事業を分社化してコア事業の一角を担わせる。これまで同社の業績を支えてきた事業部の切り離しが与える影響を注視しておく必要がある。
また、鹿児島のホテル業界も再編が続く。「鹿児島では今、一流と言える県外・外資系ホテルは無い。市内ではビジネスホテルが増えているが、城山さんの客層はゆとりを求めて訪れる人たちであるから上手く棲み分けはできている。
しかし最近はリッチモンドホテルや東横インなどのビジネスホテルが増加し、2段ベッドの導入でファミリー層を狙うチサンインホテルなどもできる。さらに日航ホテルや全日空ホテルなどが進出するようなことになれば、地場ホテル業界は再編を余儀なくされるだろう」とある地場ホテル関係者が危機感をもって語るように、予断を許さない状況である。
真の「企業再生」とは再建完了とイコールではない。再建し維持させてこそ、真の「再生」なのである。同社を取り巻く環境は決して生易しいものではないが、内外からも評価の高い現社長の存在や現経営陣の手堅い経営手法を見れば、元の力を取り戻す日もそう遠くはないだろう。命を賭して「再生」しようとする人間の意志こそが、企業生命の維持を決するのである。
つづく