21日の条例予算特別委員会総会の高山議員の質疑からである。
「3月20日に地元テレビ局が取り上げたが、九大病院の小児科、小児外科、産婦人科などのいわゆる周産期グループの教授有志が『福岡メディカルコンプレックス(FMC)構想』の提案をしたと報じていました」(高山博光議員)
「FMC構想」とは子ども病院の単独移転に一石を投じる、九大教授有志による提案だ。東区箱崎の九大医学部の空き地に子ども病院を移転し、九大医学部、九大病院、市立子ども病院間で、医師やコメディカルスタッフの相互乗り入れや、医療設備、研究設備の共用、患者の相互搬送などを行うというもの。
「メディカルコンプレックス」とは耳慣れない言葉だが、欧米の小児病院はほとんどがこの「メディカルコンプレックス」型で、大学の医学部、大学病院、小児病院が有機的に一体となった機能体のことで、日本では「自治医大とちぎ子ども医療センター」がわずかにその例だが、それ以外は単体で存続しているのが現状だ。
この構想によれば、
(1)福岡市立子ども病院の評価を高めるばかりでなく、診療内容・範囲を拡大することにより、よりよい小児・周産期医療を市民に提供できる。
(2)小児科・産科など小児医療に携わる若い医師の研修環境、モチベーションを高め、継続的によい小児科・産科医師を確保できる。
(3)福岡市のみならず九州・アジアの小児・周産期医療の充実発展にも貢献すると考えられる。
というメリットがあるという。しかし、なぜこのようなものが今までできなかったのか。それは、大学病院が「国立」で国の管轄にあったからだという。
九大が独立行政法人になったことで市立病院である子ども病院ともタッグを組むことが可能になったと言われている。こういうことが可能であるなら、子ども病院の移転は、拙速に結論を出すべきではないだろう。
子ども病院の人工島への移転は本当に市民にとって幸せなことなのだろうか。市民だけではない。医療従事者にとっても、彼らが本当に力を発揮でき、患者を救うという使命が果たせるような医療環境こそが重要で、それを実現するのが行政の役割ではないのだろうか。次回に、FMCの市民にとってのメリット、子ども病院にとってのメリットを詳細にお伝えする。
(つづく)