有明海の魚貝類に大影響を与えた諫早湾埋立問題。時は経過しギロチンから早10年、昨年11月20日には農水省政務官である谷川国会議員を招き完工記念式典も開催された。いよいよ埋立地の672ヘクタールが長崎県農業振興公社により営農者に貸し出され、4月1日より入植も開始された。応募者も62件あり、学識経験者などの選考委員により応募者名を伏せて選考。42件が決定したのであるが・・・・。
その中に地元大物政治家の長男と長女が経営する会社が応募、見事合格、32ヘクタールを借り受けることが3月に判明し問題となっている。その会社とは、大村市に本社を有する(株)T・G・Fで使用目的は各種野菜を作るとしている。問題となったことから2人とも同社の役員を辞任して決着したように見えるが、まだまだ尾を引きそうである。
大物政治家とは、長崎3区選出の谷川国会議員であり、かたや元国会議員で現長崎県知事の金子県知事。谷川議員の子息と金子知事の子女が結婚、夫婦となり、作った会社が(株)T・G・F(長崎県大村市富の原2丁目492)社、代表取締役に谷川農水省政務官の長男、取締役に金子知事の長女が就任している。
T・G・F社に決定した32ヘクタールの農地は、干拓地でも比較的条件が良い小江干拓地(湾北側の河口、小江干拓の1/3に当たる)に決定している。諫早湾干拓事業は2,533億円という巨額の税金が投入され、干拓農地672ヘクタールが開発されたが、当該地はその約5%に当たる。
K・Tコンビと揶揄される金子県知事と谷川議員、子供同士の結婚で姻戚関係となり、ますます関係が濃いものとなっているが、県北部(佐世保市、松浦市)を地盤とする金子県知事(父親は元農水大臣)も来年選挙を迎える。自民党の内規に関係なく4選に出馬するか、地元政界のドンになるのか。一方、谷川衆議員は県央(長崎市)を地盤とし、いろいろなことができる。
報道機関の取材に対して谷川国会議員は「耕作放棄地での農業を復興させるため、息子の会社で実験農業を行ってきた。干拓地への入植はその一つで、何が問題だというのか。国会議員や知事の親族であることが問題なら、息子夫婦が離婚し、私が議員を辞職すれば良いのか」と語ったというが、国会議員たる者の発言とは思えぬ激怒ぶりである。問題の会社は07年1月に設立されたばかりである。
なお、問題となったT・G・F社から双方のお子さんは退任して、問題はクリアーされたように捉えられているが、完全に関係がなくなったかどうかは不明である。
長崎県関係では次回久しぶりに、健全会社?になった金子漁業グループを書く。