テムザックが韓国政府知識経済部と本日覚書調印
遅れをとっている日本政府・地元政財界の支援
北九州のロボット開発ベンチャー企業テムザックが、本日東京の帝国ホテルにおいて、韓国知識経済部と韓国への事業進出優遇措置に関する覚書の調印式を行なった。
就任したばかりの韓国の李明博大統領がアメリカに続いて日本に来日して、本日福田首相との初会談を行なっているが、経済大統領と言われる李明博氏らしく早速日本企業の韓国進出や技術提携を加速させる方針である。
その一環で、北九州のロボットベンチャー企業テムザックは韓国知識経済部(日本の経済産業省にあたる)と韓国への進出で優遇措置を受ける基本合意に達し、本日帝国ホテルに於いて覚書の調印式を行なった。
韓国はこれまでIT関係の政府組織として「情報通信部」を置いていたが、新大統領の下で組織改変され、その一部が「知識経済部」に移されている。
先端産業として注目されているロボットもIT産業に続く次世代の大型産業として育成するため、この知識経済部の管轄とされている。
韓国は「知能型ロボット開発および普及促進法(ロボット特別法)」を2月に成立させ、国としてロボット産業の育成に本格的に取り組んでいる。
仁川と馬山の2都市にロボット開発のためのテーマパーク「ロボットランド」を日本円で約500億円かけて設立する他、国内のロボット産業を育成するだけでなく、海外の先端技術企業への出資など政府として積極的支援を行うことが、法律に盛り込まれている。
安川電機などの産業用ロボット市場は既に成熟して日本が大きくリードしているが、二足歩行をはじめ機械自体が移動するロボットはまだこれからの市場と見られていて、日本政府は本格的な産業育成を行なっていなかった。
韓国が今回、ロボット特別法を成立させ、国家として大きな予算を投入して産業育成に取り組むことで、テムザックをはじめ多くの日本のロボット開発ベンチャーが韓国との提携を進める可能性が高くなっている。
新しい大型産業として期待されているが、技術開発に費用がかかり財務状況の厳しいロボット産業界では、国家として産業育成を決断し、市場形成の仕組みを作った韓国に、ベンチャー企業の先端技術と人材が、動きの遅い日本を離れて一気に流出するという、日本にとっては危機的状況でもある。
衆参のねじれ現象で政治的決断のできない内閣政府はもちろん、日本経済の大計を描けない経済官僚に、ロボットを含めた先端産業での日本の、日本企業の優位性を維持する戦略と力がないことは明白である。
国と比較すると九州経済産業局や福岡県はロボット産業の育成に積極的に取り組んでいる。しかし地方の限られた行政手法・財源だけでは、ロボット産業を離陸させることは困難である。
福岡・九州にはテムザックをはじめ競争力のある技術を持つ企業がいくつか存在するが、将来の道州制において九州独自の産業と成り得るロボット産業を本気で育成するのであれば、地元の政財官が協力して、韓国に負けない産業育成の仕組みを作り上げることが期待されている。