福津市のマンホールポンプ設置工事については、福岡市政ニュースで詳しくその疑問点を報じてきた。
マンホールポンプとは、マンホール内の流れが地形上どうしても停滞する部分を、ポンプで強制的に流してやる設備のことである。
このマンホールポンプ設置工事のうち、平成19年度の複数の入札において、落札価格と最低制限価格(福津市の場合は70%~90%で直接工事費を下回らない金額)の余りの近さが、最低制限価格が事前にもれた可能性はなかったのか、という疑問を生じさせることを指摘した。
例えば、ある工事では、最低制限価格が入札予定価格の73.9%に対し、落札率が74%。74.19%に対し74.98%という工事もある。
コンマ数パーセントの世界でしのぎを削るという見方もできるだろうが、ここまで最低制限価格が推定できるものか不思議に思ってきた。
そこで本社取材班は、平成18年度の関係資料を情報公開請求で入手してみた。
18年度のマンホールポンプ設置工事は4件。その最低制限価格は全て入札予定価格の70%となっている。平成19年度の設定とは、明らかに違う。
しかも、直接工事費は4件とも60%台なのである。大まかな数字だが、平成18年度の直行費と19年度の直行費には、1割前後の差がある。
平成19年度のマンホールポンプ設置工事における直接工事費は、すべて70%台であり、最低制限価格が70を超え、数パーセントの範囲内で変動する。
なぜ平成19年度の直接工事費は1割近くも高いのだろう。
福津市の担当課である下水道課に聞いてみたところ、「平成18年度時点に比べ、19年度は金属機器が値上がりしたため」という。
直接工事費の計算は、もちろん福津市がやっているのであり、どうやって値上がり分の算出をしたのか確認したところ、物価本には記載のないものとした上で、「業者から見積りを取り、一番安いものを選んだ」という答えが帰ってきた。
つまり、業者の出した最低価格を役所の積算根拠としているというのである。
その結果、平成19年度は直接工事費が70%を超え、最低制限価格も工事ごとに変動することになったという訳である。
すっきりしない話である。これでは、役所の積算根拠が業者側の出した数字で変わってしまうことになる。
また、最低制限価格がコンマ数%で変動すれば、ギリギリの攻防と言うより、最低制限価格そのものを知る必要に迫られる事態も想定される。
本当に直接工事費を1割も上げねばならない状態だったのかどうか、業界関係者に聞くしかないのだが、福津市の積算方法、落札状況を見る限り、疑問符は消えない。
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