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積水ハウス100周年を目指して (23)経営者の資質 | 愛する積水シリーズ
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2008年5月 9日 10:42

大和ハウスの樋口会長が社長に就任したとき「役員や幹部は豊かさに甘えた日々の惰性、金持ち遊びの雰囲気が蔓延していませんか。寄らば大樹の陰の空気が蔓延していませんか。」このようなことを社員に感じたとの事。早速、社長としての経営改革を実施した。

まず、全役員が危機感を持って1年単位で勝負するべきで、成果を上げた人だけ翌年の業務を託すとして、任期を2年から1年にした。次に事業部制の廃止を打ち出した。中央集権になればなるほど、ひらめ族が増える。ひらめ族とは上ばかり見ている社員のことを言う。ひらめ族を排除するため、支店長に大幅な権限を与えて、組織改革の実施を行った。当然組織改革では人事も刷新、支店長の4分の1が交代した。ひらめ族もゴマすりも通用しない組織に改変されたのだ。また、赤字店の支店長にはボーナスゼロと信賞必罰にした。

ちなみに積水ハウスは、支店長、次長ならまだしも、平社員にいたるまでボーナスを0.5ヶ月というような連帯責任を取らせるシステムである。これは、社員を奮い立たせるには逆効果ではないだろうか。経営数字は支店長が全責任を取るシステムにならないと、組織全体に諦めや開き直りのムードが漂うだけだろう。

次に樋口は、人事の活性化について、能動的人事管理をすることを徹底した。能動的人事管理とは、人事部は管理職の異動の起案に何となく印を押すのではなく、自分の考えをはっきり持った上で押すことである。起案については提出者を面談し、この人物が適当かコメント入れるのが人事の仕事であり、これが現場主義というもので、本当の人材発掘が出来る。

さらに、人材発掘のため社内FA制の導入、1部署に5年以上在籍する者は、やりたい仕事、行きたい部署に手を上げることが出来る制度。また、支店長公募制の導入。課長クラス以上、年齢は問わず。書類選考、テスト、面接、最終選考にパスした後、研修の実施。

この研修の内容が凄い。「支店長は社長である。地域に密着し、地域の状況を正確に把握せよ。地域のNO.1になるための青写真を描け。販売の拡大はお客様の支持があってこそ実現できる。キーワードは技術力とサービス力。1番のサービスはスピード。トラブルは入り口で把握。防止策を立てること。原価の見直し。実行予算のチェックをせよ。・・・等々。近年では、3年間でコストを30%削減、3年間で受注を30%伸ばし、3年間で工期を30%短縮することを掲げ、チャレンジしている。

このように樋口会長は社長時代、具体的に改革の目的を社員にはっきりと示し、大和ハウスの今日を築かれたのである。積水ハウスはぬるま湯の中にいるのではないだろうか。敵はすでに一歩も二歩も先に進んでいる。全員が危機感を共有できるようにするのは、ひとえに、和田会長(CEO)、安部社長(COO)の具体的な方針、戦略の決定、指導にかかってると思う。

野口孫子      (敬称略)


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