平尾の会合は「公務」と言えるのか?
吉田市長の昨年12月4日(火)最終の公務とされる「女性経営者を含む経済人との懇談会」は、午後9時前後から開かれたものである。
先述のとおり、この日吉田市長はホテル日航福岡で行なわれたある祝賀会に出席しているが、同ホテル玄関前で女性二人を市長公用車に同乗させたのが午後8時30分から9時の間である。
この後、中央区平尾にある和食の店に向かったことになるが、同店に到着するのは、午後9時から9時20分までの間くらいと推測できる。
というのも、本社取材班が入手した、当日の市長公用車の「自動車運行表」と、ホテル日航福岡玄関前での乗車時刻から、市長の行動がおおよそながら特定できるからである。参考までにその運行表をご覧いただきたい。
(運転手氏名と印影の黒塗りは本社取材班による)
16時20分に市役所地下の駐車場を出た市長公用車は、21時40分に市役所に戻っている。市長を降ろした後、公用車が市役所に直行したとして逆算すると、平尾到着は前述の時間くらいに収まる。平尾から市役所まで20分もみれば充分であり、そうなると9時過ぎに平尾の和食店に着いたということになる。
21時をまわってからという時間で、飲食をともなう会合が、果たして「公務」と言えるのか、はなはだ疑問である。
「女性経営者を含む経済人との懇談会」が行なわれた日本料理店は、カウンターとテーブル席ふたつの落ち着いた店である。仰々しく店の看板が出ているわけでもなく、「隠れ家的な」と形容するのがぴったりの、大人の店と言う印象を受ける。
「公務としての懇談会」が開かれたというのには、かなり無理があると思われる。
むしろ私的な飲食だったのではないか、という疑問を払拭することができない。
公務と私的飲食の線引きどこに?
福岡市においては、公務と私的飲食の違いは、どこで線が引かれているのだろうか。
市側が「公務」と言えば、個人的な会合・飲食も「公務」になってしまうのであれば問題である。「公務」には公費支出(税金)がともなう。現に市長公用車は税金でその運行が成り立っているのである。
懇談会が「公務」であったとするなら、その出席者と目的が明らかにされた上で、公金支出に見合った飲食だったのかどうかが問われなければなるまい。
市側が、「公務」と言い張る以上、その検証を可能にする情報を開示しなければならないだろう。
そのうえで、本当に問題の懇談会が「公務」であったのかどうか、市民や議会の判断を聞くことも必要であると考える。
同時に、タクシー代わりに公用車を使ったことへの責任が問われることは言うまでもない。
行き先が公務の場であろうとなかろうと、市長公用車の私的利用が許されるはずはないのである。
しかし、吉田市長にとっては、この会合をなんとしても「公務」で押し通す必要がある。その理由は後述するが、・・・。
つづく
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