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積水ハウス100周年を目指して (28)海外事業は成功するか | 愛する積水シリーズ
連載コラム
2008年5月16日 10:32

 大和ハウスの村上社長の談話の中で、住宅産業は国内では今後も低迷が続くと断言している。少子化と景気の減速から、当分低迷は続くと見ているようだ。昨年(平成19年6月)の建築基準法の改正で、2007年(平成19年)の住宅着工数は前年比19%の減だった。当面は回復が期待出来ないとして、「リスクはあるが」と断わりながら「成長性の高い海外事業に経営資源を投入する」と宣言。大和ハウスはすでに、中国でマンション分譲を展開しているが、さらなる投資、開発をするということだろう。
 積水ハウスは中国では、過去失敗した経緯があるため、中国進出は当面ないだろう。今、ひそかに進められているのは、中東の金融都市ドバイでの開発事業の展開が可能か模索している段階ではないか。和田会長就任のコメントにも、具体的にどの国とは言ってなかったが、海外事業の展開を検討していることを述べている。
 5月1日の組織、人事の発表の中にも、 国際事業部を設立、国際事業部長に取締役兼専務執行役員和田純夫を任命発令している。和田は工場畑を歩いてきたことから推測して、当面は営業面のアプローチでなく、ドバイでの市場調査、技術的な調査、現地でタイアップできるデベロッパーの信用調査等を任せられるのであろう。
 積水ハウスも国内での伸び悩みから脱却すべく、海外に販路を拡げようとしている。しかし、功を焦ると、また失敗の可能性もある。田鍋時代に当時の西ドイツに進出し住宅建設は現地での施工を伴うため、現地の労働者はほとんど外国人であるため、忠誠心がまるでない。現場での施工品質がうまくいかず、クレームが続出した。赤字が累積し撤退を余儀なくされたのである。あの田鍋ですら、高い授業料だったと述懐していた。

 ドバイの労働者はインド系を中心に外国人が90%と言われている。アラブといえば、砂漠、そう思いがちであるが、昔、日本といえばフジヤマゲイシャといわれたのと同じ。「飛んでイスタンブール、光る砂漠で♪」という歌があったが、イスタンブール近くには砂漠はない。アラブといえば駱駝と砂漠のイメージしかないため、魚のイメージは出てこない。しかし、アラブ商人は陸路だけでなく、海路も使っていた。シンドバッドもアラブの船での話だ。だから魚を食べることに違和感はない。
 ドバイは中東の中で、そしてイスラム世界の中で、あまりにも国際化している街だ。アラブ、イスラムではお酒を忌避するが、ドバイは何でもありの世界である。石油の高騰で、産油国のオイルマネーが湯水のように、ドバイに流れ込んでいる。そのため、人口も増え続け、オフィスも、マンションも建設ラッシュに湧きかえっている。そこにはビジネスチャンスはあるだろうと思えるが、世界中の企業との競争、日本国内のぬるま湯的なビジネス手法では通用しないだろう。相手は華僑と並び称せられる、世界に冠たるアラブ商人だから。
 過去の積水ハウスの海外進出の失敗例を学ぶ姿勢が大事だろうと思う。そこから新しい道が開けるかも知れない。


野口孫子   (敬称略)


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