福岡市役所秘書課の話は、市民感覚とは程遠いものだった。
隠れ家的な和食店でごく少人数の飲食、案内状もない、公費支出もない。どうみても私的飲食である。
本来、飲食をともなう会合が公務であるためには、それなりの理由付けがなされていなければならない。だからこそ役所は、文書による案内などを証拠書類として残してきたはずだし、会合の主催者側も礼儀として文書による案内を出すことが普通であろう。
口頭でお誘いを受けて、「日仏交流」などともっともらしいテーマをくっつけても、今回の事例は私的飲食のそしりを免れない。
秘書課長はそれでも口頭による案内を受けて公務とするケースは、よくあることという。
あくまでも「公務」だったと言い張る。
それでは、市長公用車をタクシー代わりに使用した市長の行為は問題ではないか、と質問するが、これについても「全く問題ない。はっきり言っていい」とする。
飲食の参加者や公用車に乗せた女性2名については、「N氏に聞いて下さい」の一点張りである。
秘書課によると、元百貨店社長のN氏が、今回の中央区平尾の会合をセットした人物であり、出席者のことや女性2名ががどのような方々かは、N氏に聞いてもらうしかないというのである。「N氏に聞いて下さい」という言葉は、取材中10回近くも飛び出した。
公務だったと言いながら、公務内容も曖昧、出席者も分からない(分からないのか、取材に答えたくないのかは不明だが・・・)という無責任な公務であることを認めたようなものである。
なぜ、市役所として吉田市長本人に確認するか、N氏に確認したことを情報開示しないのだろう?なぜ私的飲食を公務と強弁するのだろう?
その疑問は次の秘書課長の一言で氷解した。問答の途中、女性を公用車に乗せたことは問題ではないか、と追求したところ、秘書課長は「公務なんですから」と繰り返す。
記者 「女性を乗せることは公務なのか。違いますよね」。
課長 「いや、公務ですって」。
記者 「女性を二人乗せることが公務なのか」。
課長 「それと別問題ですって」。
記者 「別問題とかじゃなくて、そこを聞いてるんじゃないですか。乗せることが公務ですか」。
課長 「公務の業務の一環としてそこに行ってるわけですよ」。
あきれた役所感覚なのか、市秘書課がおかしいのか分からないが、つまり、平尾の飲食が公務でなければ、女性2名を公用車に同乗させた言い訳が成り立たないということに他ならない。
市秘書課が平尾の飲食を公務だったと言い張る理由が、これで理解できたのではないだろうか。そして、市役所の論理が崩れた瞬間、問題は「事件」と呼ぶに相応しいものになっていくのだが・・・。
タクシー代わりの公用車使用について、秘書課長は「全く問題ない。はっきり言ってもいいですよ」と開き直りを見せる。そこで別の角度から質問してみた。
つづく
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