ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

連載コラム

積水ハウス100周年を目指して (33)時代は真のリーダーを求めている| 愛する積水シリーズ
連載コラム
2008年5月23日 11:22

5月21日、ニューヨークWTIの先物取引で135ドルの史上最高値を更新した。天井を知らない勢いで高騰している。前述したが、一部では200ドルにもなるだろうとも言われている。アメリカの議会で、石油メジャー5社のトップを呼び公聴会を開いた。原油の値上がりの原因は何かという質問に、需要が大幅に増えているからという回答。そのメジャーの利益は過去最高を出している。喚問されたある会社の副社長の年収は12億円と答えていた。メジャーは笑いが止まらないだろう。石油高騰を容認する態度だった。

一方産油国のOPEC側は需要に見合った供給しているので、増産はしないと言っている。 そのため、まだまだ値上がりすると市場は読み、低金利政策による金余りと、低迷する株式の資金が大量に原油への投機資金として流入しているため、毎日史上最高値を更新している。原油の大幅な値上がりはあらゆるところに影響が出始め、世界経済は不透明感、不確実感を一層強めている。人間の生活にとり、生命線ともいえる石油、穀物など、投機の対象にすることを規制すればいいのだが、自由競争、市場原理主義を標榜しているアメリカは、何ら規制する気もない。アメリカの市場原理主義の弊害、欠点でもあるサブプライム問題と同様、人類が初めて経験することである。適切な対応をしないと、時代の流れから取り残されてしまうだろう。積水ハウスもこのグローバルな経済の流れの蚊帳の外というわけにもいかないだろう。

今期(2009年3月期)の1部上場会社の決算の予測は、大半は減益を予測している。日本経済自体が減速に入ったと見るべきだろう。このような背景の中、住宅、マンション、アパートの受注は一層厳しくなるだろう。今まで外国の投機資金が不動産に流入していたのが、日本経済の減速で、日本への投資に妙味がなくなり、引き上げはじめている。

積水ハウスの開発事業も難しくなるだろう。しかし、ここが積水ハウスの真骨頂を見せるときである。過去の成功体験は全く通用しないと考えるべきだ。人類未体験の投機による、石油や資材の値上がり、今後発生するであろう地球温暖化による環境の激変、破壊、と過去の経験でははかり知れないものである。積水ハウスに今必要なのは、真のリーダーである。前述したように、現リーダーは「過去幾多の困難を乗り越えてきたよき伝統があるから、強い決意で臨め」と言っているが、精神論では通用しないだろう。

自らは一丸となることをしてないのに、いまさら一丸となれと言っても、社員は馬耳東風だろう。この危機に直面して心を改めて、全員一丸となる政策をとるべきだろう。強いリーダーとは私利私欲に走るではなく、イエスマン、茶坊主を取り巻きに置くでなく、 積水ハウスのため、命を捧げる気概と公正と正義を掲げ、広範な教養に裏打ちされた、圧倒的な大局観と判断力を有している者である。この強いリーダーこそが会社愛と人間愛によって、社員の団結を図り、その上で、的確な市場調査の実施、人事政策、営業政策、商品政策、生産体制、施工体制の基本政策を立て、行動に起こすことが大事だろう。

このように記述すると、積水ハウスの実質上の創業者田鍋がやっていたことではないかと思う。田鍋のように、お金に清廉で、いつも質素な立ち振る舞い、威張らず、現場主義で、現場に権限委譲し、責任は田鍋が取るとして部下を育て、部下は田鍋を慕い、一朝、事があっても、全社一丸となり得たのであった。もし、積水ハウスがこのような真のリーダー戴けないまま、時代遅れのリーダーによって、改革も出来なければ、積水ハウスの未来はジリ貧になるだろう。

野口孫子   (敬称略)


※記事へのご意見はこちら

連載コラム一覧
連載コラム
2012年11月27日 07:00
連載コラム
2012年11月26日 15:53
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル