公約を投げ捨て、また大型開発を進めようとしている北橋市長
―――――現在の北橋市政の経済産業政策についての評価をお聞かせ下さい。
石田:
北九州は谷市長の20年、末吉市長の20年と合わせると40年間、官僚出身の市政が続きました。
その間の大型開発のほとんどは失敗して、市債など市の借金は1兆4千億にも膨れ上っています。借金の返済である市債償還額は1年に約1850億円と、個人市民税、法人事業税など市税総額を大きく上回っています。
北橋市長は末吉市政を批判して当選し、政治公約として大型開発を否定していたはずですが、その公約を投げ捨てたようにしか思えません。
具体的な例としては、新北九州空港への連絡鉄道と第2関門道路を建設しようとしていることです。
ほとんどの大型開発は、末吉市長の時に、後年度国の交付税措置がされるとした借金で建設されたものですが、小泉構造改革という名の下に地方交付税は減らされ、ヒモ付きの借金払いだけが多く残っているのです。
本来、福祉や教育、医療などに使われるべき地方交付税が、ヒモ付き借金分を除くと実際に使える額が2006年度でわずか280億円、2007年度には更に196億円と減ってきているのです。
―――――北橋市長は空港鉄道に積極的なのですか。
石田:
「上下分離方式」で、つまり鉄道の基礎部分は税金で建設し、ランニングコストは営業する事業主体が負担するという方式で実現を考えているようです。
私も新空港へ軌道系の交通手段ができれば大変便利だと思いますが、試算では航空機利用者が年間450万人で最低の採算ラインだと言われているのに、現在の利用者数は110万人しかいないのです。
鉄道をひけば乗客が増える部分があったとしても、現実的にはあり得ない数字ですし、論理が逆立ちしています。
北九州モノレールも昭和60年に開通しましたが、ずっと赤字が続き、市の無利子貸付と第3セクターへの出資を含み291億円も棒引きしてその赤字を表向きに解消して、市民に負担を押し付けたのです。
更に北橋市長の論理では「空港連絡鉄道の建設には国の許可が必要で、国が反対しないから大丈夫だ」という無茶苦茶な説明もしています。
第2関門道路については、彦島と小倉北区を結ぶ道路を、国に対する最重要・要望事項として北橋市長は上げているのです。
国交省の調査報告書のケーススタディで、運営主体として道路公団、民間、北九州道路公社の案が挙げられていますが、関門橋のように高速道路の一部となっていて建設費の償還が道路網全体の中で処理されるものと異なり、第2関門道路はこの部分だけでの通行料金で建設費全部の償還を行わなければならないのです。
既に関門トンネル、関門橋とあるのに、多額の税金を投入して採算が取れるはずもない第2関門道路を新たに建設する必要性があると思う人は少ないでしょう。
地震などの災害で既存の交通網が使えなくなった場合を想定すべきだと言う論拠をもってきたりもしていますが、民間マンションや学校の耐震工事が遅れていても北九州は地震の危険が少ないから緊急性はないと矛盾した回答がでてくる始末です。
北橋市長がどこを向いて市政を進めようとしているのか理解できません。
つづく
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