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01◆北九州市政を語る―日本共産党 北九州市議会 石田康高議員に聞く
(その3)
02◆四川大地震について、土木・防災研究の専門家で日本と中国の状況に詳し
い、西日本工業大学工学部環境建設学科 周国云教授に聞く(その3)
03◆関門連携・下関の視点から
シーモール・下関商業開発株式会社 吉田実社長に聞く
04◆北九州市の産業特性と貿易協会の役割(その1)
社団法人 北九州貿易協会 専務理事 山﨑 朖氏に聞く
◆北九州市政を語る―日本共産党 北九州市議会 石田康高議員に聞く
(その3)
北九州の経済を元気にするには、行政が「中小企業振興基本条例」を制定して、具体的に実行することが一番効果的です
―――――北九州の経済を活性化するためには、どうすればいいか、議員の意見をお聞かせ下さい。
石田:
以前から私たち共産党は「中小企業振興基本条例」を提案いたしてまいりましたが、残念ながら議会で否決され条例の制定には到っておりません。
北九州には大企業もありますが、企業数では99.8%が、従業員数では約80%が中小企業です。
この条例は東京の墨田区や東大阪市などで実際に制定された例を参考に、行政が積極的に中小企業の力を引き出し、支援する内容として考えたものです。
大きく3つの柱があります。
1つ目は、市内全事業所の調査を行なうことです。
北九州はモノ作りの街として金属加工など世界でも最高の水準の技術をもっています。
しかし下請けである中小企業は独自に買手を見つける力はなく、資金的にも人員的にも販路開拓が難しいことが問題です。
そこで市内の中小企業がどういう技術をもっていて、どういう競争力があるのか把握してデータ化し、役所が販路拡大に回るようにするということです。
2つ目は、人材育成です。
大企業は自分で人材を育成する能力がありますが、中小企業にはその余力がありません。
そこで行政が中小企業全体の人材育成のために援助を行なうことです。
3つ目は、具体的振興策の実行です。
今の行政が行っている振興策は融資ぐらいです。
「行政が個人の経営にタッチすることはまずい」という考え方を持つ人もいるようですが、具体的に行政ができること、例えば、地元企業の新製品を導入事例作りのため行政がまず最初に購入することなど、検討可能な方法はあるはずです。
この条例は否決されましたが、市の担当部署も内容を評価して、アンケート調査など実施して考え方は活かされてきていると思います。
ただ残念ながら北橋市長自身は、選挙中、地元中小企業の振興を訴えていたのに、具体的な振興施策はまだ打ち出されていないと思います。
パブリックコメントなどで市民の声を聞く姿勢がでてきたことは一歩前進ですが、新基本構想などを含めて政策の計画段階から、もっと市民や中小企業の声を聞いて、議論が百出してもいいから、実質的な施策を練り上げていってほしいと思います。
―――――石田議員は北九州をどのような街にしていきたいと思っていますか。
石田:
私は民主商工会出身の第1号の議員です。ですから中小企業の振興が一番の願いです。
モノ作りのしっかりした基盤があり、緑が多く、魚や地元の美味しい食材に恵まれた北九州が、私は大好きです。
中小企業がいきいきと活動し、経営が安定して、そこで働く従業員の皆さんが安心して暮せる、そういう街に是非していきたいと思います。
福岡市と比べて、北九州がどうのこうのという人がいますが、北九州は北九州の特性があり、モノ作りに誇りと自信を持って自分たちの将来像を描くことが大切だと思います。
(取材 松尾潤二)
【取材後記】
最近、日本社会での格差が拡大したためか、正規雇用・非正規雇用の論議をはじめ共産党の主義主張が説得力を増してきた感がある。
全国放送のテレビ番組や雑誌でも志位委員長の発言を取り上げるケースが多くなっている。
北橋市長の政策に対しても遠慮することなく、空港鉄道や第2関門道路など大型開発を進める可能性に触れ、具体的に問題点を指摘するので、市政がどの方向に向かおうとしているのか見極める参考になると感じた。
国政で民主党が言っていることと、元民主党国会議員で市民党を標榜した北橋市長が、これからやろうとすることにズレはないか、注目していきたい。
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◆四川大地震について、土木・防災研究の専門家で日本と中国の状況に詳しい、西日本工業大学工学部環境建設学科 周国云教授に聞く(その3)
―――――周先生の専門のGISとはどのようなものですか。
周:
GISはジオグラフィック・インフォメーション・システムの略で、日本語では「地理情報システム」と呼ばれています。
私たちが生活している中で8割が空間情報に基づいて行動パターンが決められていると言われています。
例えば、公園や道路、下水管、ガス管などの分布、位置、属性、幅や大きさ、材質などの情報を結合し、デジタル技術で管理・分析することで、今までできなかった有意義な情報を生み出し、簡単に検索できるようにすることです。
GISも大きく「データベース型」と「タスク型」に分けられます。
阪神淡路震災の教訓からデータベース型のGISは普及してきましたが、更に防災や都市計画に積極的に活用されるタスク型GISもこれから大きく広がると思います。
西日本工業大学では北九州測量協会にセミナーを行ったり、国や自治体のGISデジタルデータ作成・活用に協力しています。
今後、この分野では大学発のビジネスとして大きな可能性があると思っています。
―――――中国へGISを使った防災協力は考えられるのでしょうか。
周:
まず地震の情報分析・予知体制の整備と活用が先だと思います。
今回の四川大地震の前に予兆となる小さな地震が起きていたり、カエルの大移動があったり、兆しはあったのに、それに対処できていなかったのが残念です。
また建物の耐震性のチェックが必要ですし、古い建物の補強で精一杯となると思います。
まだ大きな余震の可能性もありますし、地盤が弱くなったところでは地滑りや崩壊の危険性もあります。
本来はこうした2次災害にGISが一番役立つと思うのです。
しかしまず地震予知や耐震指導を進めた上で、将来的にGISを使った防災システムが中国でも広がればいいなと思います。
(西日本工業大学 周 国云教授の論文は下記のとおり)
http://staff.aist.go.jp/miyagi.iso14000/Works/Review/coop/0090/528.html
(取材 松尾潤二)
【取材後記】
土木工学の専門分野では周先生や九州大学などが研究を進めるGISがかなり注目され、自治体レベルでは導入も進んできているようだ。
道路の下には上下水道、ガス管、電気・通信ケーブルなどがいたるところに敷設されているが、これらをそれぞれの敷設時期も含めて3次元で立体的に一括管理できる上に、防災面でも役立つGISはもっと活用する方法がありそうだ。
都市計画や工事施工でも、個別工事の度に「掘っては埋め」の時間と費用の無駄をなくす有効な手段となるように思われる。
福岡・北九州発の技術として、防災・都市計画で日本国内のみならず中国や海外にも貢献できる可能性のあるGIS研究が今後ますます発展することを期待したい。
また地元自治体である福岡県や北九州市は、防災のためのGISシステムを作り上げ活用すれば市民の安全性を高めるだけでなく、「災害に強い都市」として世界にアピールできると思う。
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◆関門連携・下関の視点から
シーモール・下関商業開発株式会社 吉田実社長に聞く
【吉田 実 代表取締役社長のプロイール】
昭和25年11月生まれ 57歳 下関市出身
下関商業、八幡大学(現在の九州国際大学)卒業
昭和48年大学卒業した4月からシーモール設立準備に関わる
経理部長、営業部長、常務、専務を経て平成18年6月から代表取締役社長
―――――シーモール設立の経緯をお聞かせいただけますか。
吉田:
下関は水産業など地場産業が昭和40年代前半がピークで、小売業の衰退進み、お客様が北九州・小倉に流れていっていました。
このままでは地元小売業が立ち直れなくなると危機感をいだき、行政や地元金融機関、商工会議所などが主体となり、官民一体で設立したものです。
下関市の出資比率4.55%、資本金2億2千万円でスタートし、その後倍額増資して資本金は4億4千万円になっていますが、市の持ち株比率は変わっていません。
下関商業開発株式会社は昭和48年12月に設立されたのですが、私はその会社の設立準備のため、同じ年の4月に大学卒業してすぐ会社設立準備の段階から加わっております。
会社ができ、4年の準備期間を経て昭和52年10月にようやくシーモールはオープンすることができました。
―――――シーモールは当時全国でも一番目新しい商業施設だったと記憶していますが。
吉田:
今でこそ大型のショッピングセンターが全国各地に作られていますが、開店当初は、複数核のショッピングセンターは珍しく、百貨店、スーパー、専門店街を備えた大型施設が、人口26万の都市にできたということで全国的にも非常に話題になりました。
日本開発銀行(今の政策投資銀行)の成功事例として度々シーモールは取り上げられ、それまで政府の開発資金が重厚長大型の基幹産業にしか融資されなかったのが、これを契機にどんどん大型商業施設への融資が広がったと思います。
シーモール・下関商業開発株式会社には下関市が出資していますが、出資比率は少なく、189の株主の1つで、資本と経営が分離されており、特定の企業に経営が支配されていません。
あくまで、地元の企業や個人の方々に支えられここまで発展することができたと思います。
(シーモールのホームページ)
http://www.tip.ne.jp/seamall/
(取材 松尾潤二)
続く
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◆北九州市の産業特性と貿易協会の役割(その1)
社団法人 北九州貿易協会 専務理事 山﨑 朖氏に聞く
【山﨑 朖氏のプロフィール】
1946年 北九州市小倉南区出身、同志社大学経済学部卒業
1969年 東洋紡績株式会社入社
1977年 (財)西日本産業貿易見本市協会入社 管理係長
1995年 北九州市経済局 国際経済部長
1999年 (財)西日本産業貿易見本市協会 事務局長
2006年 (社)北九州貿易協会入社 専務理事
2008年 国立大学法人 九州工業大学 特任教授兼務
―――――市役所経済局、西日本産業貿易見本市協会など、30数年にわたって北九州市の貿易政策に関わっていらっしゃいますが、先ず、貿易に関連した北九州市の産業特性についてお聞かせください。
山崎:
北九州市と福岡市とを比べると、基本的に、「生産のまち」と「消費のまち」という違いがある。これは様々な面に現れている。
例えば、ものづくりというのは、特許など、いろんな要素を組み合わせて一つのものをつくる。いいものをつくれば、世界中どこに持って行っても売れるわけです。
だから、地元地域で会社を宣伝する必要性を余り感じていない。特に、北九州市の企業の多くは、大企業の系列の中で成長してきた。
下請企業は親会社の注文通りに、きちんとしたものをつくることで成り立ってきた。そのため、地域と企業とが連携して、対外的に宣伝活動を行う必要性はなかった。
企業がしっかりと生産活動を行えば、雇用も貿易も税金もみんなうまくいっていた。
福岡市の場合は「消費のまち」だからそうはいかない。人を呼び込んで、そこで消費させる。
こんないいものがある、こんなものを売っているよ、と宣伝しないと物が売れない。九州電力、九電工、西部ガス、西日本鉄道、JR九州、地元2行でつくる「七社会」を見ても分るように、地元地域の中での経済活動で経営が成り立っている。
しかし、北九州市の場合はそうじゃない。ものをつくって、外国に売りにいく企業が多い。今では「外国につくりに行く」という段階にまで進んできた。そのため、地元地域に自社を宣伝する必要性がいっそう希薄になっている。
こうした産業構造の違いが、北九州・福岡という大都市を特徴づけている。
(続く)
(取材:森脇喜一)
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