ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

連載コラム

積水ハウス100周年を目指して (36)田鍋哲学を再考しよう| 愛する積水シリーズ
連載コラム
2008年5月28日 11:10

積水ハウスの実質上の創業者があまりにも偉大で、社員に慕われていたため後任の社長は大変だったろうと推測する。和田の社長就任時は、市場経済主義が導入され始めた時代。人々の心が「乗り遅れるな」「自己責任」という、強迫まがいの掛け声に追いかけられるように、古い美徳、人間愛などをかなぐり捨て、勝ち馬に乗ろうと焦り始めていた。

卑怯でも何でもいい、勝ち馬に乗る事だけを考える人が多くなった。正義や信条より勝ち馬に乗れ、ということだろう。このような風潮の中で、10年前、和田社長が積水ハウスに登場したのである。目先の利く幹部は当然、田鍋、奥井への恩義を忘れ、和田に擦り寄った。

人事権を握った和田は、出身母体の中部地区の幹部の重用、茶坊主の登用で取り巻きを固めたのである。田鍋の流れを汲む奥井(元会長)と和田の確執は社内を二分し、この勢力争いが積水ハウスの力を大きく削いだことには間違いないだろう。結局は商法上絶大な権力を持つ社長、和田が実権を持つことになったのである。

当然、奥井を排除したことは田鍋の考えをも合い入れないものだっただろう。田鍋に育てられ、田鍋の考えに共鳴する社員が多い中、和田のやり方に違和感を感じながらも、サラリーマンとして、目立たず、反抗せず、ひたすら台風の過ぎ去るのを待つしかなかったのだろう。

しかし、このような社内の雰囲気では一致団結の機運が出るわけもなく、もうすでに、昔の積水ハウスのように、一朝事あれば全員一丸ということにはならないのである。和田が「積水ハウスのよき伝統で、この難局を乗り切ろう」と呼びかけても、積水ハウスのよき伝統を崩してしまったのでは、社員の耳には届かないのではないだろうか。

田鍋は「人間愛」を積水ハウスの経営哲学の中心に据え、まず、道徳、倫理、惻隠が業績より優先するとしたのである。「経営理念はつまるところ、企業活動を通じての社会奉仕である。お客様の満足のない上で、達成された数字は要らない。1兆円はあくまで社員が誇りを 持つための目標。誇りとは何か。それは住まいつくりを通じて、社会に貢献できることだ」と言っていた。田鍋の崇高な経営哲学を再度学んで欲しいものである。社員の幸せより、自分を優先する社長であれば、社員の心は離反するだけだろう。

野口孫子  (敬称略)


※記事へのご意見はこちら

連載コラム一覧
連載コラム
2012年11月27日 07:00
連載コラム
2012年11月26日 15:53
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル