黒部ダムは、富山県中新川郡立山町、黒部川水系黒部川に建設されたダムである。ダムに貯えられた水を利用している発電所が黒部川第四発電所であることから、黒四ダムとも呼ばれることがありますが、関西電力では、あくまでも「黒部ダム」であるとしています。

　黒部ダムは、富山県東部の黒部川上流に建設されたアーチ式コンクリートダム。発電に利用する水を確保することを主目的として関西電力によって建設されました。大自然の中に、なだらかな美しいアーチを描くダムです。黒部ダムの高さ（堤高）は186m、長さ492mと日本一の規模を誇り、世界でも最高クラスに入ります。

　黒部ダムはアーチダムの中でも、力学的に最も進歩したアーチ式ドーム越流型ダムで、お椀を縦に割ったような形をしています。アーチ式ダムは、貯水した水の圧力を両岸の山で受け止める方式で、他方式のダムに比べ、ダム体積が小さいためコンクリート量が少なく、建設工期が短く経済的であることが特長です。

　ダムの総貯水容量は約2億t、東京ドーム約161杯分に相当します。水煙をあげ虹をかけるほどの水量は、実に毎秒10t以上で迫力満点。放水口を間近に見る新展望台からの眺めは圧巻。まさにアルペンルートのハイライトに相応しい景観が期待できます。

　黒部ダムはくらしに必要なエネルギー供給の役目をはたすとともに、北アルプスの雄大な自然と融合して、美しい景観を創りだす黒部ダムの湖面の色はエメラルドグリーンやブールなど天然などによって刻々と変化し、この大峡谷に静かにたたずみます。総工費は建設当時の費用で513億円。これは当時の関西電力資本金の5倍という金額です。

　山間部に見られる、一見どこにでもあるようなダムでありながら、その背景に数々のドラマが存在し、多くの魅力を持ち続ける「黒部ダム」。NHKの「プロジェクトX」でも、ここ「黒部ダム」が、2000年に題材として扱われ話題となり、その主題歌「地上の星」を歌っていた中島みゆきさんが、紅白歌合戦に登場した時の中継先も、ここ「黒部ダム」でした。（つづく）
　
　
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