自民党、政府は国民の意思を無視しながら、重要法案を、衆議院での与党の3分の2以上の議席を利用し、強引に再議決を図るつもりだ。すべてが、「財政難だから少しでも負担をして欲しい」というのが理由だ。慎ましやかによく働き、少しずつ豊かになった昭和世代。そんなお年寄りの怒りが爆発したのが山口補選だが、自民党の幹部は「民意ではない。説明不足。」と反省の色もない。政治が軽すぎる。内閣支持率も20%を割ってしまった。
また古い話になるが、終戦の満州で迎えた同胞は、着の身着のまま引き上げてきた。政治は一般人救済の緊急性がありながら、軍隊は同胞をほったらかしで、前線を後方に移動する名分で引き揚げてしまった。このように小手先の政治の積み重ねで、昭和の悲劇を招いたのである。今でもこの本質は変わっていないと理解したほうがいいだろう。
このように、政治の閉塞感が漂う日本経済は先行き不透明。景気の減速感が強まる中、積水ハウスは2012年を目処に工場生産部材を見直すことにした。工場ごとに生産部材を絞り込むことを検討している。まず手始めに、現在は静岡工場でも生産している高性能コンクリート板を、関東工場と兵庫工場に集約することにした。
大和ハウスも、札幌工場と四国工場を閉鎖し、物流拠点とした。この動きの背景には、鉄鋼をはじめとした原材料高によるコストアップで、収益悪化は避けられないことがある。生産を集約しての一層のコスト削減は、至上命題なのだ。
住宅産業は厳しい時代に突入している。これからは会社の総合力が問われる時代だろう。積水ハウスの強みは全社の一致団結力であったが、近年、特に和田体制になってから、積水ハウスは変わったのではないのか。人事の不公平、社長のご機嫌を取り出世する茶坊主型が取り巻きに増えてしまえば、大戦略、大構想が出るわけがない。「本業部門の強化」と、和田前社長が数年も前から唱えながら、なんら具体策は打てなかった。「旧日本軍のように、当社には苦難を乗り越えた伝統がある」という精神力で突破できるとしか言わず、具体的政策はない。
商品開発も中央集権化しているため、地方の声が長年にわたり届かず、地方が「もっと安い商品を」と訴えても、「積水ハウスは高級というイメージを壊したくない。安物は作らない。」として、地方の購買層と乖離した商品の販売を強いられてきた。このことは、トップと現場が遊離している証でもある。安部社長就任で、やっと地方向けに中級商品を販売することになったばかりである。大和ハウスの樋口会長が数年前、社長時代に、現場主義に組織、人事を改革したことと違いが出ている。このことが、大和ハウスが積水ハウスをしのいでトップを走っている大きな理由だろう。
野口孫子 (敬称略)