連携が世界の常識
━━ 議員は韓国、中国の空港を視察したことで福岡空港の混雑緩和策への 対応策に近隣空港との連携・機能分担が望ましい、と考えるようになったとインタビュー冒頭でふれられましたが、具体的な話としてお聞かせください。
県議/ 現在、日本からの欧米への空路として韓国の仁川空港経由をとるのが普通になってきている。2001年の開港以来、同空港は韓国国際航空路の顔であり、東アジアにおけるハブ空港としての機能を果している。
同空港は首都ソウルから40キロの位置にあり、高速道路を飛ばして凡そ40分の所用時間だ。その手前、ソウル都心部から12キロの地点に旧国際空港であった金浦空港が国内線専用空港として運行している。
両空港は、福岡市の倍程度の圏域を有するソウル首都圏約1千万人の国内、国際航空需要に対応している。
ただし、航空路1時間ばかりで到着するソウルに飛ぶのに東京都心部から1時間以上をかけて成田空港へ回らなけらばならないという、日本側の馬鹿げた事情から、金浦空港は03年4月に羽田空港間の路線を国際定期チャーター便として復活している。
一方、中国は上海の例だ。
上海直轄市は福岡県の9割程にあたる面積の圏域を有し、人口は約1千9百万人だ。
同広域都市圏にも99年開港の上海浦東国際空港と、それ以前は国内、国際何れも主要空港として運行されていた上海虹橋空港の2空港がある。
現在は、国際線・浦東、国内線・虹橋として路線を分担してうまくやっている。
なお、虹橋空港は上海市中心部から約13キロメートル。浦東国際空港は約30キロメートルの距離だ。また、韓国・金浦空港と同様の事情で虹橋空港には07年9月から羽田間で定期チャーター便が就航している。
海外におけるこの2例それぞれの、空港の位置関係、また空港がおかれた経済的地理関係は、北九州、福岡の両空港の位置関係と福岡都市圏と北九州都市圏を一つの経済圏として見た場合の空港との経済的地理関係に近似している。
ただし、ソウル都市圏、上海都市圏では、その広域的な経済圏としてのまとまりが行政施作として自覚をもって実現し、圏域全体の経済に驚異的な効率をもたらしている。
上海浦東国際空港と虹橋空港、ソウル都市圏の仁川空港と金浦空港の関係は、そのような圏域経済についての広域的/戦略的な観点から構成されている。
繰り返してふれるが、このアジアにおける、2つの経済圏と空港の関係を見た時、現在福岡都市圏で行なわれている空港に関する議論が以下に矮小であるかがわかる。
経済効率も、時代が持つスピードについての自覚もないまま、議論が行なわれている。