福岡市内の小学校が一斉に出した1枚のプリントが波紋を呼んでいる。
本社の記事に対しても、給食のパンを持ち帰ることを禁止する「お達し」に、様々な意見が寄せられている。
昨日は、持ち帰りパンのありがたさと家庭の声を聞いて欲しいとする切実な声だったが、一律禁止に理解を示す向きもある。
「小学校ごとに対応がバラバラというより、一律禁止の方が分かりやすい」。
「健康上の問題を引き起こすことを考えると、責任ある立場としては禁止もやむなしではないか」。
ただし、そうした方々も、手つかずのパンがゴミとなって処理されることには違和感を覚えるという。
現場の先生たちはどうだろう。
何人かの先生方に話を聞いてみたが、今回の教育委員会の「通知」に対しては、批判的な意見が圧倒的に多い。
食育の重要性が叫ばれる中、食べ物の大切さを教えてきたのに、パンを持ち帰ってはならないというプリントを渡すことには、かなり抵抗があったようだ。
問題は、パンの持ち帰りを禁止した後の、子供達への対応にあるという。
子供達に対し、食べ残したパンはもちろん、手つかず袋入りのパンも「ゴミ」として処分されることをどう伝えてよいか分からないというのである。食べ物の大切さ、尊さを教えてきた立場としては当然のことだろう。一枚の通知が、大きな波紋を起こしている。
「通知」を出した教育委員会はこうした現状をどう見ているのだろう。
◆「教育委員会内部で改めて議論」 市教委担当課長が明言
福岡市教委・健康教育課長によると、報道が相次ぎ、反響の大きさに驚いているとしながら、パン等の持ち帰り禁止については、既に決められていたことが徹底していなかったことから、改めて自身の判断で通知を出したという。通知を出すにあたっては、他の自治体の現状なども確認したとする。
子どもに何かあってはいけないからとしながらも、「食育」の観点からは確かに逆行するのではないかとの記者の質問には、「確かにそのとおりなんです」と認めてくれた。
その上で、(結果はどうであれ)教育委員会内部で、改めて議論するということを明言してくれた。
市議会での質問も想定されるが、この問題について議論の輪が広がることは、「食育」について考えるよい機会になるだろう。できることなら、子ども達にも議論の場を与えてもらいたいものである。それこそが「食育」ではないだろうか・・・。
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