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【行政コラム】改革派前市長による希望の提言(5) 木下敏之前佐賀市長
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2008年6月 9日 09:50

役所の無駄を洗いざらい公開~市長公用車の廃止~佐賀市営ガスを33億円で売却~

■大阪府の橋下行革
 先日、大阪府の橋下知事が「大阪府維新プラン」を発表されました。各方面からの評価が色々と出ていますが、短期間でよくまとめられたと思います。財政の破綻が迫っているのなら、職員の給料削減、人員削減、さまざまな事業の見直しは当然のことではないでしょうか。

 今、私は役所を離れて自分で稼ぐ立場ですが、黙っていても税金が入ってきて給料をもらえる役所というのは、本当に楽な職場だったと思います。役所しか知らない人は、決してつぶれない職場の有難さと、つぶれないなら給料は多少安くて当然だという感覚はないかもしれませんが。

 大阪府は、少なくとも2050年まで働く世代が急減しますので、この改革で終わりということはありません。これだけの巨大組織の改革は、成果が見えてくるまでに一年、二年はかかります。この改革を住民が我慢強く支持してくれることを願っています。

■市長公用車の廃止
 さて、前回のメルマガでバブル的な事業の見直しを先行させ、政治的な事情から本格的な行革のスタートを遅らせたことをお話しましたが、任期一年目で思いのほかにバブル的な事業の見直しが進んだので、二年目から行政改革にも取り組みました。

 行革の基本はまず自分の身を削ってみせることですが、急に自分の給料カットなどを言い出すと社民党が警戒するので、稼働率の低い市長公用車の廃止を先行することにしました。これだけで、運転手の人件費など1000万円近い節約となりました。当時は、市町村長や議長の会議があると、黒塗りの車が何十台も止まっていましたが、私には無駄の塊のようでとても違和感がありました。

■役所の無駄を洗いざらい公開
 当時は、「行政改革懇話会」などという名前の、お茶を飲みながらのんびりお話するような名前の会議がありましたので、直ちに編成を変えました。役所の場合は、人選を見ると、その首長がどの程度本気で取り組むつもりかが見えてきます。わたしは、はっきりモノを言っていただける企業経験者と、行政の裏も表も知り尽くした元役人の大学教授などを委員に起用して、問題点を全て洗いざらい表に出してもらうという方法をとりました。

 佐賀市役所は行政改革に手がついていなかったので、次から次に改めるべき点が出てきました。
・職員の勤務評定が行われていない。
・「わたり」という、本来もらえる額以上に給料をもらうおかしな慣行がある。
・現業職員は、国の同種類の職員と比べて30%も給料が高い。
・民間委託がほとんど進んでいない。 等々

 それを受けて、行政改革推進会議は、次から次に改善すべき方向を打ち出してくれました。もちろん私も、一度も欠席することなく傍聴しました。本当に重要だと思うものは、市長が挨拶して退席するのではなく、できるだけ傍聴するということが大事です。委員も、担当職員も本気になってくれますので。
 
 結果として、ごみ収集、学校給食、市立保育所、焼却炉の運転管理などの民間委託を進めましたが、私が落選したので、現業職員が国より30%も高い給料を取っている問題や、課長補佐以上の割合が高すぎる問題は今も改善されないままです。

■佐賀市営ガスの売却
 効果という点で一番大きかったのは、市営ガスを33億円で売却したことでした。民間委託よりも先にやるべきことは、役所が行う必要のないことは廃止し、資産を売却することです。

 実は、表にはいえない別の狙いがあったのですが、表向きは、国が市営ガスの原料をプロパンガスから天然ガスに変える方針を打ち出したが、巨額の設備投資が必要で市営のままなら赤字になるという理由で売却を進めました。

 全水道という公営事業の労働組合の拠点闘争地区に指定され、各地の労働組合の名前を染めた赤旗がガス局を取り囲むという場面もありましたが、自治労の反対は予想通りでした。

 意外だったのは、本来なら行革推進であるはずの議会保守派の一部の反対でした。一度は議会で、市営ガス売却議案が否決されてしまいました。ここには利権があったようです。ガス管の工事の利権と一部のプロパンガス事業者の関係でした。どいうことかというと、ガス局が民間会社になると、当然営業を一生懸命にします。そうなると棲み分けができていたプロパンガス会社のシェアを奪うことにもなりかねないのです。
幸いに、ガス局の受け皿会社に資本参加し、新たな事業展開を図ろうと考えるプロパンガス会社が多かったことと、地元経済界の応援のおかげで、最終的に33億円で売却することができました。

 意外なところに敵がいるものだと思った反面、資産売却の効果も実感しました。職員一人減らすのも大変なことですが、資産売却はいっぺんで何億という効果を上げることができます。都市部の自治体ならなおさら期待できます。九州大学のビジネススクールには、アセットマネジメントのプロだった方が教授でいますので、全九州で活用されたらよいのになと思います。


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