今年の住宅産業界の苦悩が浮き彫りに
積水ハウスは、2009年1月期の第1四半期決算を発表したが、営業利益段階でいきなり172億円の赤字を計上した。 前年同期は54億円の黒字であったから、実に226億円もの収益悪化となった。
前年は『赤坂ガーデンシティ』(東京都港区)の持分を200億円以上で売却した利益が含まれていたとはいえ、コア事業の戸建住宅市場の低迷が続き、特にサスティナブル・タウン(資産価値が持続可能な街づくり)と銘打ち、業界をリードしてきた同社の宅地分譲を含めた不動産販売事業、および分譲住宅分野販売が前年同期比14%減、27億円の営業赤字となっている。地価高騰の影響を受け今年に入ってから急減している。
今後は同社の主力商品の構造部材である鉄骨や、外壁材原料のセメント関連資材が急騰し原価を圧迫することになる。一方で、一部地域では値下がりが目立ち始めて入るものの、地価の上昇要因が収益を脅かし始めている。
低層集合住宅への投資利回りは、減反農地等の保有者には相続税対策への優遇政策だけ無く、8%強もの投資利回りを確保できていた。しかし、ここにきて新規に賃貸住宅への投資を考え始めている層に対して提供できる最終的な利回りは、土地価格の上昇の影響もあって5%強に過ぎなくなっている。
世界的な食糧需給の逼迫から、政府が減反政策廃棄へ向けて舵取りを切る可能性が出てくるわけで、積水ハウスだけでなく大和ハウス工業、大東建託、レオパレス21、東建コーポレーション、等への影響も見逃せまい。
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