法改正で何が変わったのか
今回の法改正の主な趣旨は、以下の通り。「建築物の安全性の確保を図るため、都道府県知事による構造計算適合性判定の実施、指定確認検査機関に対する監督の強化及び建築基準法に違反する建築物の設計者等に対する罰則の強化、建築士及び建築士事務所に対する監督及び罰則の強化、建設業者及び宅地建物取引業者の瑕疵を担保すべき責任に関する情報開示の義務付け等の措置を講ずる」(国交省公表資料「改正建築基準法概要」より。システムについては【表2】参照)。
では、法改正によって一体何が変わったのだろうか。あるデベロッパーは、「法改正とは言いますが、法の中身はほとんど変わっていません。法が改正されていない部分で縛りがたくさんあります。これが結果的に、着工遅延やコストアップにつながっているのです」と問題点を指摘。
つまり、法の中身そのものというよりも、法改正の根拠となる(1)建築確認・検査の厳格化、(2)指定確認検査機関の業務の適正化という2つの「名目」によって、行政が「良いもの=厳格化」という型にはめようとし、図面どおりに構造物を造るべきだという風にしてしまったのが、その後の建設業界の大きな足かせとなってしまったのだ。
こうして、改正法に対する理解不足や法に適応するための作業量がどれくらい増えるのか、申請手数料を施主にどれくらい請求できるのかなどの判断がつかないまま、改正法の運用が始まってしまい、建設不況をもたらす結果となった。
つづく
*
【イベント情報】官製不況に打ち克つ シンポジウム開催 (株)データマックス
(株)データマックスは、8月26日に1,000人規模のシンポジウムを開催いたします。講師は北川正恭・早稲田大学大学院教授(元三重県知事)、木下敏之(前佐賀市長)、青木茂・(株)青木茂建築工房主宰などを予定しております。北川氏には「生活者起点」の行政改革派の立場から、木下氏には地方行政に関わっていた立場から、青木氏には建築設計に携わっている立場から、それぞれ提言していただきます。
※記事へのご意見はこちら