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【連載】崩壊する介護(2) 「事故報告書」発端で事件明るみに
福岡市政ニュース
2008年6月13日 15:31

 特別養護老人ホーム「L」におけるストレッチャーからの転落事故、そして隠蔽との指摘も出たその後の系列病院における虚偽診断書作成事件。病院―特養が同系列であるからこそ起きた事件といえるかもしれない。

 実は、当該事件の死亡診断書には「脳挫傷による外傷性ショック死」と記載されながら、死因の種類を記入する欄はなぜか「病死及び自然死」とされていた。
 本来、死因の種類には「転落」と記され、事故として「異常死」扱いした上で、24時間以内に警察へ届け出る必要があったはずである。しかし、実際には真実が隠蔽され、警察への届け出もなされていなかった。

 真相が明らかとなった発端は、特養「L」から福岡市に提出された1枚の「事故報告書」である。本社取材班が情報公開請求し、入手した事故報告書をご覧いただきたい。


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ストレッチャーからの転落死事件本文 (拡大はこちら

 
    「事故報告書」は何を語る?

 この事故報告書は事件を引き起こした特別養護老人ホーム「L」が福岡市に提出したものである。じっくりと見ていただきたい。
 もちろん、この報告書が提出された段階では警察は何も知らされていない。事件にもなっていないのである。しかし、報告書の内容を確認した福岡市は事故の重大性を認識し、警察への連絡を指導したとされる。
 事件として警察が動き出すのはそれからである。

 結果的に、12月になって病院副院長と担当医師、特養職員2名が書類送検される。市役所側は、この段階まではきちんとした指導・監督をしていたということになる。
 この事故報告書を安易に取り扱っていたら、人ひとりの命が失われた事案の真相は、闇に葬られていたことになるのだ。中央区役所・介護保険課の指導は的確だったといえよう。

 それでは、事件の発端となった「事故報告書」とはいかなるものか、簡単に説明しておきたい。
 介護保険事業者(介護サービスを提供する側)は、事故等が発生した場合、保険者(市町村 福岡市の場合は各区の介護保険課)に対し事故報告を行なうよう義務付けられている。
 県ごとに事故報告の要領が規定されており(福岡県の場合「介護サービスにおける事故報告に係る報告要領」)、事故報告についての詳細が記されている。

  福岡県では、報告すべき事故の種類について以下の5項目に分類している。

  (1)利用者のけが、死亡等
  (2)食中毒、感染症、(MRSA)レジオネラ症、インフルエンザ、疥癬等)及び結核等の発生
  (3)職員の法令違反、不祥事など
  (4)事業所での災害その他サービスの提供に支障をきたしたもの
  (5)その他(利用者が行方不明になった等)

 ストレッチャーからの転落・死亡は(1)に該当する。特養「L」は、この要領に基づき、福岡市に対し事故報告をしたのだが、報告の時期、内容等には大きな問題があった。


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