建設業が農業を始めた。全国的にこのような動きが盛んになってきている。全国農業会議所が発表した資料によると、2007年9月1日現在、農業生産法人以外の法人の農業参入は256法人で、2007年3月の集計より、半年の間に50法人も増加している。2006年3月の集計では156法人だから、約1年半で100法人が新規で農業に参入したことになる。
この中で最も多かったのが建設業からの参入で、256法人中88社。2006年3月が57社だったため、1年半で31の法人増となった。公共工事の削減、改正建築基準法による着工の遅れにより、土木建築業の倒産が増えているが、まさに生き残りをかけた参入と言える。
九州では参入企業がまだ少ないが、とある戸建メーカーは今度、じゃがいも畑の運営を行うという。
ここで出来た芋はポテトチップスの材料となるようだ。家ではなくて菓子を作る。こんな時代が来るとは予想もしなかった。
また、鹿児島のある建設会社は、焼酎用のサツマイモを生産。本業よりも倍以上の収益があることで、立派な副業となっている事例もある。工事の受注が毎年難しくなるにつれ、従業員の給与が払えなくなり、企業側は人員をリストラするか廃業するか、苦渋の決断を迫られて、苦しんでいる会社も多いと聞く。
「工事がないから、ただ会社が潰れるまで待つわけにはいかない。いつかはまた建設土木工事が活気付く時代が来るかもしれない。本業以外の事で生き延びたいと思っているから、農業に参入するんだ」と、某建設会社の関係者は語る。建築土木工事は日本の経済成長を支え続けた基幹産業であるが、今後、食糧の自給率の向上を支えてくれる時代が来るのかもしれない。
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