福岡中堅のディベロッパー矢緒企画が破産となったことは前回報告したが、その他にも東京や関西など全国各地でディベロッパーの破綻情報が飛び込んでくる状態にある。1990年代のバブル崩壊時代も、ディベロッパー業界は厳しい環境にさらされていたが、その時代より過酷な環境にあるのが「今」といえる。
政府を含めた官の、現場を知らない無策な締め付けというか押し付けが、この未曾有の大不況を招いている。金融機関のディベロッパーに対しての貸付の状況は、昨年と180度違ったもので、貸し剥がしどころか、担当者さえも寄り付かない状況も聞かれる。不動産に対する融資は、総量規制時代以上の状況である。そのため、有力ディベロッパーといわれていたような企業でさえ、資金調達に苦労するようになっているようだ。
また、姉歯事件を教訓に昨年6月20日に施行された「改正建築基準法」だが、これほど現場を無視して、現場も知らずに行われたのも過去に例が無い。これほどの悪法を厚顔無恥にも押し通し、現在に至っている。さすがにこの改正建築基準法を巡っては、一部で訂正されているが、依然として現場を無視している状態は変わっていない。
大きな問題として、官と金融機関を取り上げているが、本来この二つは「企業を育てて、国を豊かにする」という大義名分があるはずである。ところが、これら二つの機関は今や、われ可愛さと責任逃れに終始して、中小企業を育てることや国を豊かにするといった気概が全く見られない。
これでは、槍玉に挙げられているディベロッパーや建設業者は堪ったものではない。官に潰される第二第三の矢緒企画を待つばかりだ。 (つづく)
※記事へのご意見はこちら