抜けるような青空、そして完成されたアーバンリゾート。誰もが思い描くドバイの姿。ドバイ観光商務局でのプレゼンテーションでスクリーンに映し出された映像には、まさにこの通りのドバイが余すところなく紹介されていた。国際ツーリズム振興のため、ドバイ政府が世界に向けて発信しているプロモーション映像だ。各国のツーリストはこの映像を使い、ドバイへゲストを送り込む。
プレゼンテーションをしてくれた担当官のマンソール氏によると、ドバイ観光商務局は世界52カ国に出先機関を持ち、そのプロモーションの成果もあり、近年、観光入込客は倍々ゲームで増加しているという。ドバイ国際空港の年間利用客は2400万人、165のエアラインが乗り入れ、202の都市と結ばれている。そして、空港の拡張により、利用客数は7000万人にまで増える見通しだそうだ。
しかし、このプロモーションフィルムに「描かれた」ドバイの姿はあくまでも入念なメイクアップを施されたものであることを、視察団の一行は知る。砂漠に囲まれた地である上に、いたるところで行われる開発現場から立ち上る砂埃、そして、大気汚染により、少なくとも、視察団が訪れてからのドバイの空は、常にどんよりと曇り、立ち並ぶ摩天楼は、霞の先にうっすらとシルエットを映しているという状態だ。街も依然として開発途中で、インフラ整備を含め、アーバンリゾートとして完成するにはかなりの時間を要するのは間違いない。
確かに、凄まじい勢いで開発は進んでいる。しかし、率直に言って、実際に訪れてみると、現状では事前に思い描いていたドバイとは若干のギャップを感じるのは筆者だけではなかったのではないか。開発の光と影とも言えるドバイの姿は、次に訪れた「フェスティバルシティ」というショッピングモールでも見ることができた。福岡の方なら、キャナルシティ博多をさらに巨大化させたショッピングモールを思い浮かべていただければ良いだろう。
それは素晴らしい造りの施設なのだが、人影はまばら。開業してすでに数年が経過しているようだが、工事は完成していない。テナントにも空きスペースが。入居テナントもありきたりで、あまり魅力的なものは見られなかった。ドバイには同様な巨大ショッピングモールが他にも複数あり、開発スピードの速さに呑み込まれてしまい、完成を待たずして、敗北してしまったとも見て取れる状況だった。
開発が続くドバイ。真の姿はいったいどのようなものなのだろうか。(つづく)
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