2年間で重大な死亡事故10件。特別養護老人ホームに限定した福岡市内の介護事故の実態を示す数字である。その他の介護施設まで入れれば、死亡に至る重大事故の件数はさらに増大する。このままの状態が続けば、介護保険制度への信頼は益々損なわれることになる。
福岡市 事故公表せず!市民に届かぬ重要情報
特養側が市に提出した「事故報告書」によって確認すると、福岡市内の特別養護老人ホームに限っていえば、平成18年4月から20年3月初旬までの間に、特養側に過失があると認められる重大事故は15件、そのうち死亡に至った事故が10件起きていた。
MAX市政ニュースで報じてきたストレッチャーからの転落・死亡事故や、入浴中の溺水事故もこの中に含まれていた事案である。特養以外の施設を含めると、死亡に至った重大事故はさらに増える。しかし、市民にはそうした重大事故について全く公表されていない。保険者である福岡市が、こうした人命にかかわる介護事故を公表しないことは、被保険者(市民)に対する裏切り行為ではないだろうか。
介護保険制度は被保険者である市民と、介護施設側の信頼関係の上に成り立っている。
施設側に過失があるとされるような重大事故、特に死亡に至ったケースが公表されないということは、そういった重要情報を知らずに入所する市民に多大な不利益をもたらす。
「介護」 再考の機会に!
MAX市政ニュースでは、まず福岡市内の特養にしぼって、介護崩壊の現状を連載している。連載開始以来、大きな反響を呼び、読者からのご意見や投書が続く。施設側が福岡市に提出した「事故報告書」を徹底検証しながら、続発する介護事故について、施設側、運営法人、そして役所の対応は間違っていないのか、人手不足、低報酬だけで片付けられる問題なのか、読者とともに考えていきたい。
「事故報告書」が介護事故の現状を語る。市民には、これら事故を知る権利があるはず・・・。
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