急激な開発の影で、問題も内包している気配の漂うドバイ。ここで暮らす人々の生活はどのようなものなのだろう。まず日本でも急騰し、経済に暗い影を落とし始めているガソリン。産油国ではどのくらいの価格なのか。ここドバイでは、現在1リットル約50円。やはり日本と比較すると大幅に安い。それでも、3年前は40円程度だったものが、上昇し始めているという。
開発が進むに連れ、家賃をはじめとする物価の上昇は著しく、ここ数年、インフレ率は約10%という高い水準で推移している。1人暮らし用のいわゆる1ルームタイプの家賃は3年前まではほぼ10万円というところだったが、現在では15万円~20万円。4~5人が暮らせるファミリータイプとなると、40~50万円が相場だそうだ。
今回、ドバイ視察のアドバイザーを務めてくれたドバイ在住の山本氏は、5年前160坪の敷地に建つ戸建て住宅を4300万円で購入したが、現在では2億円を超える価格にまで上昇していると説明してくれた。「ドバイは一切の税金がかからない代わりに、様々な物価が高騰していますから、日本の一般家庭のような暮らしを普通にしようと思ったら月100万円程度はかかると思っていいでしょう」と語る。したがって、ドバイの一般庶民の生活は決して楽ではなく、格差社会はここでも顕在化していることがわかってきた。
以前は外国人の不動産保有を認めていなかったが、ムハメッド国王が5年前にそれを解禁。最近では制度が整備されてきて、登記も認められるようになり、一気に需要が高まって、不動産価格は急騰。外国人による不動産所有が拍車をかけている状況のようだ。
しかし、ドバイにおける外国人はこうした富裕層ばかりではない。というより、現在の人口の約80%は外国人で、180カ国以上の国から労働者が集まってきている。そのため、本来の公用語であるアラビア語よりも英語が共通語として使われるという歪まで生まれてきているのだ。
猛烈な開発ラッシュを支える外国人労働者たち。彼らの暮らしは当然厳しいもので、稼いだ金のほとんどを本国に送金し、会社から与えられる住まいと食事だけで、必死に働くとういうのが、ほとんどの現場作業員たちの実情だという。ここにも、ドバイが抱える現実があるのだ。 (つづく)
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