某経済紙によると、有機野菜、無添加の安全食品などをネット通販し、躍進中のオイシックス(株)(本社:東京都)の規格外野菜が売れているという。同社の規格外野菜とは、傷やシミが付いたものをいうが、これを大幅に値下げして販売したところ、6月5日~11日までの1週間の売上げが188万円と2ヶ月前の6倍になっているというのだ。昔は敬遠されていた傷物野菜が売れている。
同社のデータによれば、4月17日~23日までの1週間、この商品の売上は約30万円だった。だが時が経つにつれ次第に伸びを見せ、5月1日以降の週は右肩上がりで急上昇。5月8日~14日までの1週間でおよそ5倍となる150万円の売上高を計上し、更に6月5日~11日までの1週間では188万円と2ヶ月前の6倍となっている。
そもそもオイシックスが販売する有機野菜は、社員が直接産地に赴き、生産者との交渉から品質や物流の管理まで一貫してやることからリピーターの信頼度は高く、正規品として割高感があったころでさえ、給食の材料として仕入れていた施設もあった。そういう利用者にとっては、もともとの品質は間違いないのだから、多少傷があっても安く買えるのであれば大助かりである。
本来、ネット販売では「傷物=不良品」である。特に「手にとって品定めのできない顧客」の信頼を得るには、徹底した品質管理が不可欠。だがオイシックスは、農薬の過剰使用に消費者が敏感に反応するようになり、形の悪い野菜も堂々とスーパーマーケットに並ぶようになった「ご時世」をうまく利用し、「不良品」を商品化してしまった。すでに構築させていた、利用者との信頼関係の上に成り立った成功例ではあるが、良いものをより安く提供できる上、捨てるものが少なくなれば地球のためにも良いわけだ。インターネットというデジタルビジネスの、自然との折り合い方を見た気がする。
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