国交省の敗北宣言?
ソフトとともに、非常に評判の悪い適判の仕組みをどう是正するか、これがもうひとつの大きな課題である。建築士のなかには、「法による厳格化は認めるが、その運用の仕方が問題だ」とする意見もあり、肝心要の構造計算審査過程の見直しが無い限り、法改正が引き金となった建設不況の問題は決着がつかないだろう。
こうした状況のなか国交省は、昨年末に決めていた木造2階(4号建築物)の確認審査の義務付けを、今年2月に先送りする方針を固めた。木造2階まで確認審査をすれば、さらなる不況を招くのではと、業界内で問題視されていた。
木造2階の場合は計算単価が低いため、建築士が構造計算をやりたがらないという状況もあった。もし、確認審査が義務付けられていたならば、今度は戸建の着工件数が激減していたことは想像に難くない。世論を受けて方針を変えたようで、国交省の敗北宣言とも看取される。ともかく、戸建はこれ以上の官製不況は招かずに済みそうである。
改正建築基準法と近年の経済諸事情によって、建設・不動産業界は前代未聞の大淘汰時代に入ったと言っても過言ではない。今、業界が選択すべき道が問われている。
(了)
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