このところ、金融、鉄鋼、自動車、保険、情報通信などの業界も、再編統合が急速に進んでいる。どの業界も三社かプラスマイナス一社になると言われている。住宅業界も例外でないだろう。積水ハウスは生き残るだろうと安閑とはしていられない状況であることを肝に銘じ、CEOは長期の戦略をたてねばならない。
創業五十年で、1兆五千億円を越える売上を達成、2兆円に手に届く所まで来ている。次の五十年で五兆円、十兆円企業になるためには、経営者の長期戦略にかかっていると言っても過言ではない。和田会長(CEO)は長期戦略を建てるのが役目である。そういった意味では、現業の数字は阿部社長にまかせるべきであろう。
大和ハウス工業の樋口会長(CEO)はすでに100周年には10兆円を目指すと宣言していると聞いている。そのためには、現状の[総合生活産業]から[複合事業体]にして、グループを取り巻く人、情報、財産の一体化を計り、新しい事業分野として、福祉、環境、健康、通信の分野に進出する方針を打ち出している。方針を打ち出すだけでなく、それぞれの分野にすでに着手して、未来への基礎固めをしている段階だという。
苦戦をしている積水ハウスは目先の経営数字に追われ、和田会長CEOは長期戦略を建てられないのかもしれない。未来への事業展開として、わずかに聞こえてくるのは海外事業の展開の模索、ドバイへの進出の可能性、最近では、さらに新資源国ロシアへの進出の可能性を検討しているようだ。グローバル化、業界再編の荒波の中、トツプの資質が会社の命運を左右する時代である。
これまで住宅産業は、右肩あがりの時代だった。成功体験しか知らない和田会長以下経営陣が、現状をどのように認識し、何を未来に向けて、事業展開しようとしているか、未だ見えない。金に飽かせ、一等地を買いあさり、そこに企画した超高級マンション、商業ビル群などが飛ぶように売れた時代は、もはや影を潜めはじめている。
積水ハウスの商品開発は遅れをとっている。大和ハウス工業の樋口会長は、商品は三年後には墓場にやれ!と言っている。新商品を開発してないことは経営者の怠慢だろう。華やかな開発の成功に踊っている間に、六工場も抱えながら、本業である住宅の新商品開発をしてなかったつけが回ってきて、苦しい状況に追い込まれているのだろう。
野口孫子(敬称略)
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