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【特別取材】ドバイ産業視察 現地レポート(5) (株)データマックス
特別取材
2008年6月26日 14:43

 ドバイ・ワールド(ドバイ政府所有の事業体を統括するホールディングカンパニー)の発表によると、07年におけるドバイの対中輸入額は前年比38%増の699億ディルハム(約2兆970億円)で、02年の約10倍となった。また同社のスルタン・アハメド・ビン・スライェム会長は、「中国とドバイ首長国の関係はたいへん良好な状態にある。中国はドバイにとって主要な貿易国であり、我々はこの関係をさらに強化することを重視している。中国は印象的な経済基盤を構築することに成功している。ドバイ・ワールドは、青島港および上海港プロジェクトを通して中国における主要投資家となっており、さらに他の領域でも投資拡大を目指している。経済関係と協力をさらに深めるため、アラブ首長国連邦首相兼ドバイ首長国首長のムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム殿下が間もなく訪中の予定だ」と08年3月にコメントしている。

 04年12月に完成した「ドラゴン・マート」はドバイ郊外にある中国本国以外で最大の中国産品専門の卸・小売物流拠点で、全長1.2km、総面積15万m2内に約4000のテナントスペースを有し、贈答品、玩具、美術品、衣装類、産業機械、建材、内装品などが販売されるショッピングセンターでもある。昼間は摂氏40度を超えるドバイらしく、「客足のピークは午後9時以降になる」と同センターの事業開発部長のシン氏は言う。もともと法人税・所得税が課せられないドバイは、パキスタンやイランといった周辺諸国からの商人の流入が多いが、近年は中国商人の進出が著しく、中国産品に特化した「ドラゴン・マート」のテナント稼働率は常時8割以上、良い場所のテナントは創業以来ほぼ入れ替わりがないという。

 「ドラゴン・マート」は02年に中国とドバイ政府によって開始された合弁事業で、中国は同施設を中国とドバイの「戦略的協力」の象徴的事業と位置づけ、中東向けのみならず、アフリカ、東欧、中央アジア、南アジアも対象とする中国産品の輸出基地とすることを企図してきた。単なる商品陳列の受動的ビジネスに終わらせないのが中国商人の強みか、既にアラブ・アフリカ各地で現地の事業パートナーと契約・取引するなどして、市場開拓が確実に進んでいる模様だ。嗅覚の鋭い中国商人(中小零細企業)のアラブ・アフリカへの進出事業は、創業4年目にして既にその戦略が具現化しつつあることに「シルクロードの復権」を感じた。

 日系大手商社のエネルギー開発の担当者は、「既に中東は西ではなく東をみてる」と言う。オイルと砂漠しかない有限のオイルマネー国家にとって、アジア新興国は未来永劫に資金を増殖させてくれる運命共同体といったところだろう。現在ドバイの人口の約半数はインド・パキスタン系の労働者で、公用語のアラビア語以上に英語が使われている。ヒト・モノ・カネが往来できるこの土壌は極めて健全な経済環境であり、その成長力の期待は強まる。蛇足になるが、イスラム金融は実需のない投資を禁じており、ギャンブルは勿論のこと、サブプライムローン問題でアラブ諸国の被害が報じられなかったのは、この戒律があったからだと言われる。(つづく)


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