「こんなザル法ない方がまし」の３法

　ペットボトルリサイクルも鳴り物入りでリサイクル法が制定された。しかし罰則規定がない。市民一人一人がペットボトルを洗い、分別回収に参加しているものの、全国各地の地方自治体で集められた半分が、法制化された国内リサイクルには回されず、自治体自ら中国等に売却しているのが現実である。

　石綿問題も法制化されているが、殆どの老朽化した建物の解体が、何の規制も受けず解体されている。法律を守っているのは超大手会社と官庁くらいである。危険な青色石綿が使用された建物であっても、零細の解体業者が無防備で解体しているのが現実であるが、これも罰則規定がない。

　福岡県沖地震で、建物が傾いたり、壁が崩れ落ちたりして、市役所の調査員により、最も危険として赤紙が張られたビルがいくつもあった。ところが、壁が落ち赤紙を貼られた料飲ビルの経営者が「営業妨害するのか」と市職員を一喝。赤紙は経営者によって即日剥がされ、テナントには通知されず、そのまま営業され続けた。これも罰則規定がないためである。

　当ビルの前は歩道であり、福岡を代表する歓楽街の一角。もしもウィークデイの夜、地震が発生していたら、壁のコンクリート片が人を直撃していたかもしれないのであった。「その後の余震で壁が再度崩落した場合の責任は市役所にないのか」と質問したところ「ない」とのあっけない返事。被害者が出たらどうするのかとの問いに「民間レベルの損害賠償責任があるくらいです」との返事であった。当ビルは半年後改修工事がなされたが、崩落した場所や、ひび割れのパテ埋めと全面塗装工事で終わり、今もって本格的な改修工事は行われていない。

環境産業育成の差

　日本の場合、大企業の既得権保護の立場から、アメリカからの圧力でもない限り政治家は法律や条例で規制することを一切しない。輸出産業の場合、ソニー製品の梱包問題のように、世界の環境規制強化の流れから企業自らがやらざるを得なくなり、取引先に開発させているのが現状である。これでは欧州勢の後塵を踏むことになり、環境産業を一大産業にすることは難しい。

　ドイツでは既に04年、消費電力(名目)の1/10を再生可能エネルギーによりまかなっていると報告している。将来的には自動車産業を環境産業が凌駕するとも試算しており、110万人以上の雇用が新たに創出されたとしている。また、廃棄物、風力発電、雨水の利用、水質浄化、ソーラーシステムといった環境保全技術の開発プロジェクトに対して積極的な融資制度が取り入れられており、研究開発、影響評価、監査、調査、設備の設置などに対しても返済義務のない助成金が支給されている。

　日本でもソーラーシステムに対する助成制度があるものの、税増や派遣社員増で年々国民の可処分所得が減少しており、新築する者に負担増となることから、新設住宅における設置率は僅少のままとなっている。国も地方も、財政破綻している現状から限界はあろうが、世界は変化しており、新たなる産業である環境産業を育成せねば、ますます国力が落ちることになる。

　日本企業が海外・国内とも利益を回復させれば、国民の可処分所得も上昇し借金は大幅に減少するのである。時の総理はサミット向けに、とって付けたような環境産業育成の方針を打ち出しているが、今まさに官学民挙げて温暖化防止に至急取り組む必要がある。

大阪神戸ドイツ連邦共和国総領事館
http://www.german-consulate.or.jp/jp/umwelt/index.html

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