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【連載】苦境を打開できるか 心血注ぐべきは地場経済への貢献(1) 岩崎グループ | 企業研究
連載コラム
2008年6月 3日 09:46

 これまで鹿児島経済を牽引してきた岩崎グループだが、最近の業績は芳しくない。2002年に社長となった岩崎芳太郎氏は、04年に900億円あったと言われる有利子負債圧縮のため、積極的なリストラ策(従業員削減、ホテル売却による観光事業からの撤退など)を打ち出した。

 しかし一方で、事業拡大(奄美での木材チップ工場新設やサトウキビ栽培など)を推進するなど、あわただしい経営戦略をとっている。また、競合するライバル企業に対しては訴訟を起こすなど、何かと話題になるグループである。本稿では成り立ちと業績、そして現在の動向から、同グループの役目について考えてみたい。

岩崎産業(株)】              
所在地:鹿児島市山下町9-5岩崎ビル
設 立:1928年4月
資本金:2億3,644万円
年 商:(07/3単体)204億4,837万円

いわさきコーポレーション(株)
所在地:鹿児島市鴨池新町12-12
     南海郵船ビル 
設 立:1943年4月
資本金:6億6,241万円
年 商:(07/3連結)236億3,930万円
※グループ全体の年商(07/3):約660億円


一木材業者から総合商社へ

 岩崎グループの中核である岩崎産業(株)は、1923年に創業者・岩崎與八郎氏が木材業者として岩崎商店を開業したのが始まり。転機となったのは、同年9月の関東大震災。これを機に枕木納入の許可が下り、鉄道省へ大量の枕木を納品して財を成した。

 その後、26年8月には郵便逓送事業、30年には鉱山事業を開始するなど、次々に事業を拡大。40年4月に法人改組して、現在の商号となった。43年10月には屋久島バス(有)を設立、同年12月には奄美大島の社有林1万2,000haの山林経営に着手。木材資源の確保に力を注いできた。

 戦後は陸海空の交通運輸事業を手がける一方、観光・レジャー事業に狙いをつけた。交通運輸では、奄美陸運(株)(50年)、種子島交通(52年)などの設立、および南薩鉄道(株)(52年)、鹿児島商船(株)(60年)、南海郵船(株)(66年)などの買収により、多くの交通インフラを手中に収めた。

 観光面においては、48年4月に東京・銀座にオリンピック観光(株)を設立。その後は指宿観光ホテル(56年)、箱根・紅葉園(59年)をオープンし、63年には沖縄の観光開発にも乗り出した。73年には大規模リゾートホテルの指宿岩崎ホテルを開業、指宿を南九州観光のメッカへと押し上げることに貢献し、一木材業者から総合商社へと業態を変えていった。

つづく

                 

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