先日、MAXふくおか市政ニュースで「提言 食育とは何か」と題して、給食で出されたパンの持ち帰り禁止通知について報じた。
ご一読いただいた複数のお母さん達から、寄せられた声を紹介したい。
まず、おさらいしておくと、今年4月15日に、福岡市教育委員会健康教育課が市内各小学校に「パン等の残食の取扱いについて」と題する通知を出した。これを受けた各小学校は、給食パンの持ち帰り禁止についてプリントを配布していた。
5秒に1人の子どもが、飢えが原因で命を落すという世界の現状(国連WFP協会ホームページから)、食材の高騰、食料自給率の低下、これら全てと逆行する、パンをゴミとして処分する愚行・・・。大人も子どもも一緒になって「食育」を考える機会を、1枚の通知で失わせてはならないということなどを提言していた。
地元紙も2日間にわたりこの問題を報道、テレビなども問題提起し、議論の必要性を求める動きが増している。3日には県議会でも給食の残食についての質問が出されるという。
◆お母さんの声 その1
「(時候の挨拶、本ニュースを見たきっかけなどは取材班で略しました) 提言を拝見しました。
お恥ずかしい話ですが、我が家は、そんなに裕福ではありません。
事情があって、食費を抑えての、ギリギリの生活です。
子どもが持ち帰るパンは、食べかけでもありがたいと思っていただいていました。
先日、こどもが学校からのプリントを持ち帰りました。蚊の泣くような声で『パンがもって帰れんようになった・・・ごめん』と言いました。
プリントを呼んで怒りを覚えました。
せっせとパンを持ち帰ってくれ、喜ぶ私の姿を見てきたのですから、ショックだったのだろうと思います。子ども心に気を使っていてくれた事が心に響きました。
生活の中で食べ物を大切にするように教えてきましたし、我が家の生活そのものが子ども自身に食べ物の大切さをわからせてしまっていたのですが、そうしたこととまるで逆行するお知らせでした。苦しい生活の中でも、給食費は一度も遅れることなく納めています。せめてアンケートを取るとか、子どもや親の意見を聞くことがあっても良かったのではないでしょうか。
1枚の通知を出すだけの役所仕事に、本当に怒りを覚えます。
世の中は、残り物でもありがたいと思っている家庭もあるんです。
衛生上の問題とおっしゃる方々がおられるそうですが、袋も破ってない新品のパンにも衛生上の問題があるとは思えません。私たちが子どもの時分、残したパンで食中毒なんて聞いたことはありませんでした。
ぜひ、もう一度、さまざまな意見があることを理解していただき、ご再考いただきたいと思います。みんなで考えてゆくことも教育の一環だと思います」。
賛否両論ある中で、こうした声なき声も考慮すべきであろう。少数の苦情で右往左往するくらいなら、広く意見を求め、議論することはより重要ではないだろうか。