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【連載】建設・不動産業界の悲鳴、増えた倒産 改正建築基準法の波紋を振り返る(1)
特別取材
2008年6月10日 11:35

 2007年6月20日、「耐震偽装の再発を防ぐために、建築確認・検査体制を厳格化する」という目的で改正建築基準法が施行された。しかし、この法改正が建設および不動産業界に想像以上のダメージを与えてしまった。

 改正法の施行以来、全国的に新設住宅着工件数が激減、販売数も鈍化してしまった。現場では「審査基準がよく分からない」ために混乱を招いた。また、法改正の影響で倒産する企業が増加し、関連業界からも悲鳴が上がっていた。法改正からもうすぐ1年。ここでは法施行から現在までを改めて振り返り、今なお残る課題について検証してみたい。

法改正までの過程を振り返る

 まずは、昨年度の状況を振り返っておこう。新設住宅着工戸数は07年までの数年間、景気が回復していたこともあり、ほぼ安定してその数を伸ばしていた。しかし、法改正の影響により昨夏以降は急激に着工数が減少した。

 07年6月には121,149件で前年比6%増と若干回復の兆しがあったものの、法改正後の7月は81,714件で23.4%減、8月は63,076件で43.3%減、9月に至っては63,018件で44%減と過去最大の減少幅を記録した。10月には76,920件で35%減と、9月に比べれば着工数は増えたものの、予断を許さない状況が続いた。11月、12月もわずかながら回復傾向にあったものの、結局、07年度の着工数は103万5,598戸と前年比19.8%減に止まった(【表1】参照)。

 福岡でも、7月は2,811件で前年比21.8%減、8月は2,436件で41.2%減、9月は2,227件で58.7%減、10月は2,733件で56.8%減、11月は2,931件で48.0%減、12月は3,540件で31.5%減となっており、法改正の影響を大きく受けていたことが分かる。

 そもそも、なぜこのような非現実的な法改正が行なわれたのか。その経緯を少し振り返ってみたい。

 05年11月17日、千葉県の姉歯建築設計事務所の元一級建築士・姉歯秀次被告が、地震などに対する安全性の計算を記した構造計算書を偽造していたと国土交通省が公表し、構造計算書偽造問題として事件化した。

 これは、姉歯被告が国土交通大臣認定構造計算ソフトウェアの計算結果を改ざんしていた形での構造計算書の偽装を、建物の建築確認・検査を実施した行政および民間の指定確認検査機関が見抜けずに承認してしまったことに端を発する(その後、国交省は「構造計算書偽造問題対策連絡協議会」を設置、現在も当該問題への対応を行なっている)。

 その後、07年6月20日に改正建築基準法が施行され、指定構造計算適合性判定制度の導入と、3階建て以上の共同住宅に対する中間検査の義務化を柱に、構造計算基準の大幅な見直しと罰則の強化を図った。

つづく

【イベント情報】官製不況に打ち克つ シンポジウム開催 (株)データマックス

 (株)データマックスは、8月26日に1,000人規模のシンポジウムを開催いたします。講師は北川正恭・早稲田大学大学院教授(元三重県知事)、木下敏之(前佐賀市長)、青木茂・(株)青木茂建築工房主宰などを予定しております。北川氏には「生活者起点」の行政改革派の立場から、木下氏には地方行政に関わっていた立場から、青木氏には建築設計に携わっている立場から、それぞれ提言していただきます。

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