ヘリポートは「機上の空論」
反対の声が日に日にたかまるこども病院の人工島移転。吉田市長は会見のたびに様々な理屈をつけて正当化しようと努めてきたが、次々にその前提条件が崩れはじめている。当初、人工島にこども病院を移転させれば、ヘリポートができると自信満々の市長だったが、地元テレビ局の現地取材で、人工島の空域では「上空待機」の可能性が大きいことが判明。それ以来へリポートの話は聞かれなくなった。人工島上空は、福岡空港への航空機が進入する空域である。こうした事態が想定できていなかった「いい加減な計画」であることが明らかとなっていた。まさに「機上」の空論になってしまった。
「増床」も夢物語?
10日の市長会見では、市側から新しいこども病院のベッド数を大幅に増やすかのような話。翌11日の新聞各紙も、朝刊で「増床」と報じていた。しかし、福岡市のベッド数は限られている。簡単に増床はできないはずと心配していたが、案の定、権限を有する福岡県との話がついていなかったことを、地元テレビ局にすっぱ抜かれた。
現実的な対応は、福岡市が有する病院、つまり「市民病院」のベッド数を削り、新こども病院にもっていくしかないのである。当然、市民病院の患者や経営自体に大変なマイナスをもたらすことになる。はいそうですか、と言える話ではない。最終的には県や厚労省の判断を仰ぎ、特例を認めてもらうしかないとされるが、これは極めて難しい話だという。増床が難しいというのなら、なにも人工島の広大な土地を買う必要はなくなる。
次々と崩壊する人工島移転のメリットと選定理由・・・。重ねて言うが人工島の広大な土地が必要だという根拠はなくなっている。虚偽とまでは言わないが、「はじめに人工島ありき」でスタートしただけに、後付けの与太話はオチもお粗末である。気になったのは新聞各紙の記事に、市側説明の検証がなされていないことである。福岡市内の病院ベッド数増床が難しいことは、市役所職員をはじめ多くの医療関係者が知っていたことである。会見発表の内容について、吟味する姿勢をもっていただきたい。市役所発表のたれ流しでは市民に本当のことが伝わらない。