直撃取材には無言のまま
中牟田健一元岩田屋社長、さらに吉田宏福岡市長が、市長公用車への女性同乗の前提としていた「土砂降りの雨」。実は晴天だったことが判明し、市民からも批判の声があがっている。
吉田市長は、定例会見という公式の場で「土砂降りだった」と発言した。しかし、当日が晴天である以上、作り話(つまり虚偽)か、別の日と勘違いしたかのどちらかということになる。公用車のタクシー代わり使用を正当化するため中牟田氏と話を合わせた結果、墓穴を掘ったという見方もあながち否定できない。別の日と勘違いをしたというなら、新たに公用車のタクシー代わり使用があったという可能性も出てくる。
気象台の記録と食い違うことに「気象台に聞いてもらうしかない」と突っぱねているが、これはお粗末というほかない。ホテル日航福岡だけが土砂降りの雨に見舞われるはずはないのである。本社記者は、念のため会見終了後、市長に「土砂降り」と発言されたが、気象台は晴天としており、別の日の記憶と間違っていないかを聞くが、全く答えようとしなかった。重ねて「答えられないということですね」と念を押したが、無言。動揺されているのかもしれないが、きちんと答えられないということが、全てを物語っているのではないだろうか。
市長公用車問題の顛末
ここで、市長公用車問題について簡単におさらいしておきたい。事の発端は昨年12月4日、ホテル日航福岡で開催されたフランス農事功労勲章授章者の祝賀会に出席した吉田宏市長が、ホテル玄関で市長公用車に女性2名を同乗させ、次の目的地に向かったというもの。
市秘書課に対し、当日の公務日程や同乗の事実について確認を求めたところ、ホテル日航福岡での公務の後、中央区平尾の「なかむた」で地元経済人との懇談会があり、その出席者を同乗させたと回答した。また、「なかむた」での会合は飲食をともなうものであったが、「公務」であるとした上で、詳しい話は懇談会の呼びかけをした中牟田健一元岩田屋社長に聞けとしていた。
本社取材に対し中牟田氏は、「土砂降りの雨」であったことを前提に、中牟田氏自身が市長公用車に女性2名を乗せたと明言、また、別の日には中牟田氏が同公用車で自宅まで送ってもらっていたことも明らかにしていた。
MAX市政ニュースでは、公費で運用される市長公用車に特定の個人を乗せることは、市長による便宜供与の可能性も生じること。公用車廃止を打ち出す自治体もあるなか、吉田市長が公用車をタクシー代わりに使用しておきながら、全く反省しないことなどについて問題提起してきた。もちろん、市秘書課長や市長室長の「何の問題もない」とする市民感覚欠如の姿勢も許されるものではないと考える。
さらに中央区平尾の「なかむた」での会合は、案内状もなし、公費支出もなしという事実から、私的飲食ではないかとの疑問を呈することで、市長の公務のあり方にも一石を投じた。まさに吉田市長の公人としての資格・資質が問われる問題であると判断したからに他ならない。
新事実発覚
中牟田氏1人なら勘違いで済むかもしれないが、24日の定例会見では吉田市長も昨年12月4日夜は「土砂降りの雨だった」と断言した。二人揃って「土砂降りの雨」と表現した以上、勘違いで済む話ではなくなったのである。結論から述べれば、中牟田氏や吉田市長の話は、天候の件が示すように、真実と判断することが困難となってきた。
本社取材班は、追加取材の結果、いくつかの新事実を把握している。まずは次回、昨年12月4日の女性同乗現場の一部始終を目撃した人物の、生々しい話を報じる。
つづく