給食パンの持ち帰り禁止通知をめぐっては、賛否両論、さまざまなご意見を頂戴した。
市教委のように紙切れ1枚の通知でことを決めるやり方は、やはり感心できない。手をつけられてもいない袋入りのパンがゴミになる現状は、明らかに「食育」と逆行する。ただし、衛生管理上の問題との声を無視するつもりはない。給食パンの持ち帰り禁止についてその是非を議論する機会が必要であると言いたいだけである。
教育委員会は「もう決めたこと」と我を張らずに、もう一度児童、学校、保護者はもちろん、地域を巻き込んだ議論をするべきである。食に関する事故が起きて、責任を追及されることを避けるための決定なら、許されることではない。重要なのは「大切にする心」をいかに育んでいくかということだろう。
自然教室に「持って行くもの」に素朴な疑問
さて、今回も教育現場で配られた1枚のプリントを参考に問題提起してみたい。まずは、その内容をご覧いただきたい。(現物は表・裏で1枚)このプリントは、福岡市内の中学校で授業の一環として行なわれる「自然教室」に関する保護者説明会の資料である。
冒頭に、「1,自然教室の目的」とあり、自然を大切にする心や、教師・生徒の心の交流、助け合い、協力の大切さといった文言が並ぶ。確かにどれも大切なことである。趣旨には大いに賛同したい。生徒たちは自然教室を楽しみにし、あるいは、経験した生徒たちからも極めて好評であると聞く。
ところが、多くのお母さんたちにとって悩みの種となっていることがあるという。改めて、裏面の「持って行くもの」をご覧いただきたい。ジャージ上・下、体操服・短パンに続き、「Tシャツ(白ワンポイント)」2~4枚とある。さらには「就寝時のジャージ」ときて、下に見ていくと「長袖・長ズボン(化繊ではないもの)」と記されている。
実は、お母さんたちは、入学時に揃えたジャージや体操服を除く「Tシャツ」「就寝時のジャージ」「化繊ではない長袖・長ズボン」を揃えるため、さまざまな努力を強いられるという。まずTシャツだが、子供が着るTシャツはカラフルなものばかりである。白色無地の子供用Tシャツは見つけるのが大変なのだ。ワンポイントのものも、白地となると確かに少ない。実際、数軒の店舗や子供服売り場を訪ねてみて実感させられた。
さらに、学校指定のジャージで寝てはいけないのかと素朴な疑問が湧いてくる。化繊ではない長袖・長ズボンと指定されれば、無い家庭は買うしかないだろう。なぜ手持ちの普段着ではいけないのだろう?「物を大切にする心」を育むこととは逆行してはいないか。さっそく教育委員会を訪ねて話を聞いた。
つづく