地元マンション業界の中堅に位置する(株)インベスト(本社・福岡市中央区)が会社更生法を申請して実質上の倒産となった。これでいよいよ「デベの淘汰時代」、いや「デベ殲滅(センメツ)時代」に突入した。この問題を一経営者の経営能力という責任結果に帰結させて良いのか。果ては金融機関の非情なデベ差別姿勢への悔みごとに終始させて良いのか。
バブル後急成長の筆頭株 インベストの破綻
1992年あたりから福岡にはバブル弾けの悪影響が出始めてきた。この頃、お国は内需拡大の振興政策に注力し、住宅ローンの貸し出し優先・奨励をした。だからバブル弾けの暗さはなかった。戸建てもマンションも売れていたからだ。この時代背景にして身軽な(バブル後遺症のない)新興企業が続々と誕生した。この筆頭株がインベストである。創業者であった早川氏は「怖いもの知らず」で業容拡大を図ってきた。守りの経営を知らずしてだ。そして二期目のバブル破裂の機会に内紛も絡んで倒産した。
先立って倒産した矢緒企画も新興勢力の倒産という意味では同じであるが、インベストの場合は影響力が全然違う。「企業防衛能力を持たない若手経営者のデベの本格的な倒産が始まった」と認識し、金融団はインベストと同様に92年以降に設立された企社の倒産の悪影響を想像するだけで震えが止まらないのだ。以前なら「早川氏の公私混同の経営が罰被ったのだ」と嘯いていたのだが・・・。もう他人事でおられる余裕はなく、融資をシャットアウトする姿勢をさらに強めてくる。だからこそ若手経営者たちは心しなければならない。
機会あるごとに幾度となく指摘してきた。「業界の先発隊で生き延びられるのは新栄住宅1社しかない」と。つい1年前まである若手デベ経営者は「コダマさんの説はごもっともだが、我々は92年以前の先輩たちと違って手堅い経営をしているから大半が残りますよ」と自信たっぷりに語ってくれた。この経営者が6月30日に顔面蒼白にして「いやー、9月まで銀行が金を出さないようだから我々の仲間は半分飛ぶ」と肩を落としていた。
確かに92年頃のバブル弾けの2期目が今襲来している。先輩組は新栄住宅1社しか残らないという冷酷な事実に、若手組はただ脅え手を拱いているに過ぎないのだ(新栄住宅に関しては「アイランドのタワーマンションが売れないから大変だ」という俗説が流れているが、最悪売れなくとも乗り切れる企業力はある。妬みの願望を持っても仕方がない。おそらく7月末には「どえらい力があるのだ。新栄住宅は」と兜を脱ぐ場面に直面するはずだ。企業経営する我々は客観的なデータで判断をしよう)。(続く)
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