▼▽ 本日の記事・目次 ▽▼
▼01 こども病院人工島移転再考
▼02 介護崩壊 第2シリーズへ
第1シリーズから問題点を探る
本稿ではここまで、こども病院を利用する患者家族の立場から、病院移転の妥当性について考えてきたが、この問題の「当事者」とは、もちろん患者とその家族のことのみを指すのではない。
医療行為は患者と医療スタッフの両者があってはじめて成り立つものだ。したがって、こども病院のあり方は、患者にとってはもちろんのこと、「もう一方の当事者」である医療スタッフにとっても最良のものでなければならないはずだ。こども病院の人工島への移転は、より良好な医療環境の構築につながり、医療スタッフのモチベーションをアップすることにつながるのだろうか。
興味深いアンケートの結果がある。
福岡地区小児科医師会(丹々会)という団体が会員に実施した「こども病院の移転先に関するアンケート」(135医療機関145名中回答数91名・回答率67.4%)によると、「こども病院の移転先はどこが望ましいですか?」との設問に対しては、福岡市内の72.6%の会員が中央区や城南区の候補地を挙げているのだ。
具体的な移転先としては、九大六本松跡地や現在地付近が多く、東区の会員でさえも11人中5人しか人工島を指定していない。
また、「候補地に重要なものはなんですか?」という設問に対しては、福岡市内のほとんどの会員が選んだものは交通の便であり(94.5%)、その他災害に強いこと(52.1%)、他の医療機関との距離(45.2%)、広い敷地(42.5%)の順になっている。
どうみても、福岡市が移転先として人工島を最適とする論拠には合致しない。福岡市はこども病院が新たに担うべき機能として「周産期医療」を挙げているが、明日以降、この「こども病院人工島移転再考」では周産期医療を担う、ある産婦人科医の意見をお伝えしていく。ご一読いただければ、こども病院の人工島移転が患者だけでなく、医療スタッフにとっても不幸なことであるかがわかっていただけるであろう。
レポート(日下部晃志)
▼02 介護崩壊 第2シリーズへ 1シリーズから問題点を探る
福岡市内にある特別養護老人ホームの「事故報告書」を通じ、介護事故の実態を報じてきた。今回の検証は、わずか2年間分だけにとどまるが、それでも刑事事件になったストレッチャーからの転落・死亡事故、入浴中の溺水事故、パーキンソン病患者の放置・死亡事故など、通常では考えられない実態が明らかとなった。
介護サービスの質は明らかに低下している。その原因には、介護現場で働く人たちの低賃金、そこから派生する人手不足などという問題はもちろん、介護サービス事業者の施設運営方針そのものにも大きな原因があると見られる。
さらに、事故報告書の様式不統一や、事故隠しを助長しかねない事故報告基準の甘さなど、制度上の欠陥も垣間見える。
介護サービスの現場の方々からは、特に低賃金の現状に強い不安の声が上がる。例えばあるヘルパーのご婦人は、「2級を取得しているが、時給700円~800円がほとんど。これでは求人欄のパート仕事と変わらない。なんのための資格なのか分からない。意欲を持って現場に立ってはみたものの、周りの仲間はどんどん辞めていく。考えてはいけないと思いながらも『割に合わない重労働』というのが偽らざる心境。結果的に、一生懸命な人や優秀な人の負担が増すばかりで、疲れきってしまう。人手不足が慢性的になり、入所者には気の毒だと思うが、サービスのどこかで手を抜かざるを得なくなる。事故が起きない方がおかしい。」と語る。
また、介護現場を離れた元職員の方は「今の制度はおかしい。日本はご都合主義で福祉といえば『ボランティア』が基本とでも思っているのではないか。実際に入所者を介助するスタッフには極めて冷たい。賃金も含めて全ての待遇が悪い。一方で社会福祉法人の理事長や施設長などの生活は豊かで、豪邸に住む人も少なくない。施設は立派なのにサービスは悪いというのでは本末転倒だ。どこかに無駄なお金が流れ出ているとしか思えない。」と憤慨する。
低賃金、人手不足だから事故もやむなしでは、介護保険制度は崩壊しているといわざるを得ない。介護現場で働く人たちにとっては、「介護事故」の内容や件数だけを報じられることは不本意なことだろう。しかし、それもひとつの厳然とした事実なのである。
被保険者である市民は介護保険料を支払い、請求されたものもきちんと支払っている。その被保険者の立場からすれば、介護事故は決してあってはならないことなのである。
制度の不備、役所の怠慢、数え上げればきりがないほどの問題が山積する介護の現状・・・。
第2シリーズは、入所者やその家族の思い、さらに介護現場で働く人たちの声を拾いながら展開してゆく。
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