▼▽ 本日の記事・目次 ▽▼
◆ 01 対アジア拠点空港としての北九州空港整備考 その65回
石原俊、大槻文平氏なお経済団体代表者らの署名・捺印文書5
◆ 02 どうする福岡空港/この人に聞く・その3
原田ひろし県議会議員 (5)最終回
◆ 03 改革派前市長による希望の提言(8) 木下敏之前佐賀市長
中心市街地の活性化対策 3
■経済団体代表者らの署名・捺印/ある約定の文書 その5(最終回)
谷伍平北九州市長(当時)が、話の内容に合意を示した約定として文書に署名・捺印を居並ぶ経団連をはじめとした経済団体代表者へ要請する。
代表者の中から署名・捺印まで行なえとはいささか不躾ではないか、との声があがる。
★戦略の結実、苅田町の人脈
この席上、期成会を代表して谷北九州市長が第4次に続く国の第5次空港整備5カ年計画へ新北九州空港建設計画案を盛り込むことへの国に対する要請。また着工実現に向けての協力を居並ぶ経済人へ請うたうえ、合意を約定する意味で趣意書への署名・捺印を求めた。
経済団体の出席者からは、署名・捺印まで求めるのはいささか不躾ではないか、との声もあったが、新空港建設への地元の熱意の表れとして、あえてお願いしたいと理解を求めた。
こうして、時代に名を残す経済人が、北九州空港建設推進のために署名・捺印を行なった文書が、翌々日の85年12月20日の日付で残された。
歴史的とも言えるこの文書の成案後、北九州空港の建設計画は一気に進みだす。翌々年の87年6月、国は第四次全国総合開発計画に北九州空港の建設を明記した。
北九州空港の建設に重要な役割を果たしたこの文書の成案には、苅田町がそれまでに行なってきた企業誘致活動から得た関係に拠るところが大きい。苅田町は73年・三菱鉱業セメント、75年、日産自動車九州工場の町内進出を実現している。
そのほか、日立金属や宇部興産、九州電力、麻生セメント、その後はトヨタ自動車などの国を代表する企業進出を受けてきた。これによって培われてきた苅田町の有する人脈が、北九州空港の建設を進めるにあたって、国を代表する経済団体を巻き込むという戦略展開を可能にさせた。
わが国の航空政策には戦略性が無い、とはよく言われることだが、北九州空港の建設は、北九州・苅田都市圏による戦略的な動きのもとで進められた。
こうして生まれた北九州空港は、沸騰するアジア経済に対処していくための航空インフラとしての可能性を十全に備えている。
国は、九州・西日本一帯の対アジア航空拠点としての北九州空港の意味合いについて、いつになれば気づくものか。
航空政策の戦略性に目覚めるまでと考えれば、その日は遠いが、世界の動きは待ってはくれない。
つづく(レポート・清田進)
どうする福岡空港/この人に聞く その3・原田ひろし県議会議員(5)
「空港問題についても、本当に長期的視点で、現実的な需要予測や建設コストを前提として県と2つの政令市、市町村も含めしっかりと話し合い、県民全体のコンセンサスを得る事が重要だと考えます。さらに言えば、九州全体をも視野にいれるべきです。」
Q/
北九州空港との連携や棲み分けについてはどのようにお考えでしょうか。
原田/
私は福岡で勤務したこともあり、以前は東京出張のほとんどは福岡空港を利用していました。古い北九州空港は、東京便はあったものの地形や天候の問題で就航率が全国でも下の方で本当に不便でした。
しかし、新空港ができ就航率が非常に高まり、早朝から深夜まで多くの便があり、駐車場も安く使えるので、東京出張に利用する機会が本当に多くなりました。福岡からでも国際線の空港としては十分利用できる空港になったと思います。まだ私たちの会派としてのレポートができていないので私的な意見でしかありませんが、現在の福岡空港の貨物便や一部の国際線、また早朝、深夜の東京や関西のビジネス便を北九州空港に振り分けるという選択肢は、当然、再度検討すべきです。
麻生知事は、国際線・国内線の旅客機がどの空港を利用するかは民間の判断にまかすべきで、行政の介在する話ではないと言いながら、一方で貨物便は北九州空港と連携がいいと、行政の長としての発言は矛盾していると思います。行政には、民間とともに長期的視点で、最適な空港の利用形態を考える責任があると思います。
Q/
福岡県、福岡市、北九州市の間の調整は大変なのでしょうね。
原田/
福岡県内には2つの政令都市があり、それぞれの思惑や方針があるの で確かに調整が難しい面があります。政令市の県議会議員は必要ないと揶揄されることもありますが、広域行政に携わる一員として県益に添う形で、様々な調整機能を果たす事は、重要な責務のひとつだと考えています。
空港問題についても、本当に長期的視点で、現実的な需要予測や建設コストを前提として県と2つの政令市、市町村も含めしっかりと話し合い、県民全体のコンセンサスを得る事が重要だと考えます。更に言えば、九州全体をも視野にいれるべきです。
Q/
最後に福岡県・北九州市がどのような街になればいいなとお考えですか。
原田/
抽象的ですが、様々な立場の、いろいろな年代の方が混住した地域のコミュニティが基本であり、そのコミュニティがつながって1つの都市ができていると思います。公営住宅などで高齢者ばかりが住んでいる地域がありますが、そうした偏ったコミュニティよりも若い世代もいっしょに住んでいる街を作らなければなりません。
そのためには、それぞれの地域で子育ての環境整備や雇用の確保が進んでいかなければなりません。まだ私は微力ですが、長期的な視点で若い世代と高齢者がつながった、また都市部と過疎化してきている農漁村部がうまくつながった、本来あるべきコミュニティを創るために働いていこうと思っています。
Q/
最後になぜ政治家になろうと志されたのか、お話しいただけますか。
原田/
西鉄の不動産事業部に勤務していた時代に大規模マンション開発を担当して、地域の行政や議会の方々お話しする機会が多くなり、地方議会の問題点などをお聞きしているうちに、自分も政治の道を志そうと思いました。
これから地方の時代がやってくるのに、旧態依然とした議会のあり方や議員の考え方・資質も変えていかなければと思ったのが一番の動機でした。お陰様で昨年初当選し福岡県議会に席をいただきましたので、地方行政が本当に県民の皆さんの常識と噛み合っているのか、チェックしていこうと思っています。
おわり(インタビュー・松尾潤二)
行政コラム・改革派前市長による希望の提言(8) 木下敏之前佐賀市長
●中心市街地の活性化対策(3)
■ 遊びに来る人を増やす。
・・・神社仏閣を生かしたイベントの開催
考えた対策の二つ目ですが、中心市街地で四季折々にイベントをするということを実行しました。ともかく人が来ないことにはどうしようもないので、イベントで人を集めようということです。市内には格式のあるお寺や神社が多数あります。えびす像も400体以上あります。この雰囲気を生かすことを考えました。
例えば、佐賀城下ひな祭りです。別々の場所で開催されていた、地元の人形作家の方が自分で行われていた雛人形の個展と、佐賀藩主だった鍋島家のお雛様の展示を組み合わせて、イベントにしたのです。ともかく物語が作りあげられれば、後はマスコミの協力を得て、佐賀でも観光客を集めることができることを、佐賀には何もないと思っている市民に見せようと思ったのです。
最初は商店街は冷ややかでしたが、一年目からかなりのお客様が来ました。九州では有名な日田のおひな祭りを見に行きましたが、人形自体はだいぶ痛んでいて、佐賀のほうがずっと優れています。お雛人形のレベルが全く違うのです。
それに加えて、福岡のテレビ局が随分協力してくれました。テレビ局の社長さんを尋ねて、地域振興のためのイベントなので是非、テレビで取り上げていただきたいとお願いしたのです。観光のPRに市長が来ることは今まで全くなかったそうで、その努力を買っていただいたのか、結構テレビで取り上げていただきました。
2年目、3年目とどんどん観光客が集まってくるようになりました。今では、3月の約1ヶ月で、有料入場者数が10万名を越えるイベントに成長しましたが、これまで全く動かなかった商店街の人たちも、自分の店先に雛人形を飾ったり、花を飾ったりしてくれるようになりました。
「石の上にも3年」といいますが、地方では「石の上にも5年」ですかね。それでも、動き出してくれるのはあり難いことです。がらんとしている商店街よりも、人でにぎわっている方が楽しいですからね。
■民間人の登用
このように、四季折々のイベントを少しずつ増やしていって、ともかく人寄せをしようと思いました。そのためには、民間の知恵を活用するためにJR佐賀駅長を観光振興課長にスカウトしたり、西村晃先生に、マーケッテイングの講座である商人塾を開いていただきました。
今では、民間人をスカウトした管理職はいませんし、西村先生の塾も市役所との関係はなくなりました。別のイベントを作り上げたという話も聞きません。私の考えた重要な柱がいくつも崩れてしまいました。残念ながら、資金繰りも金利のこともわからない役人だけでは中心市街地の活性化を図ることはとても出来ないと思います。
つづく
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