▼01 17日にこども病院患者家族説明会
市長「人工島移転が前提」で出席へ
▼02 「かえりみる」こと知らぬ市長
「かえりみられぬ」市民は不幸 (下)
▼03 こども病院人工島移転再考 その13
「こどもが産みにくい都市」になる恐れ
▼01 17日にこども病院患者家族説明会
市長「人工島移転が前提」で出席へ
こども病院・感染症センターの移転問題で、二度目となる患者家族説明会が17日午後6時半から同院で開かれることが8日の市長記者会見で発表された。吉田宏市長も出席する。しかし記者会見で市長は、「議論の前提は人工島ということは変わりはない」「アクセスよりも機能が重要」「広さは最低3ヘクタール」などと人工島移転を前提とした説明を繰り返すばかりで、それ以外の選択肢はまったく頭にない様子だ。市長記者会見のやりとりをまとめた。
―アクセスが重要との意見に対して市長の考えは
「アクセスの問題と病院の機能の問題が焦点になっていると思う。院長は機能の充実を最優先とし、患者家族はアクセスを重要視しているのだろう。私はアクセスよりも機能が重要と考える。将来の疾患を抱えた子どものためにも医療の機能を充実させていくことが先決だ」
―交通渋滞の対応は
「交通渋滞に関しては承知しているが、交差点改良、橋の拡幅、高速道路がアイランドシティに入れるよう、関係者とも話を始めた」
―橋の凍結が多いと言うが
「そういう心配もあるが、冬場に通れないわけではない。いろんなところで交通の問題はある。そこだけを見てアイランドシティがだめとはならない」
―アクセスを都市高速に頼るのは危ないのではないか
「都市高速の機能を否定すると、福岡市の交通全体の議論ができなくなる。そこだけを取り上げるのはいかがか」
―7月中に方針決定することに変化はあるか
「いまのところ、7月中に決めたいという気持ちは変わっていない」
―説明会に出席しようと思った要因は
「アクセスを含めて、直接話を聞きたいという気持ちは十分わかる。まずは専門家の意見を聞いて頂いたということで、前提が成り立つので、私が直接出て行く。今後やるかどうかは、17日のやりとりをして、必要かどうかということになる」
―前回は説明会の時間が超過したが、今回は短いのではないか
「今回は二回目だから、説明は聞いてもらっているという前提。前回と合わせれば3時間半ではないか。こちら側の話をよく聞いてもらう。患者家族の言葉は受け止めていくが、説明会は交渉の場ではない。エンドレスに交渉する場ではないので、お互い冷静な対応が求められる」
―最終的に患者家族の理解が得られなくても、7月中に決めるのか
「まだ時間があり、ここで断言するのは難しい。場所を決め、それを補うケアを見いだせるかというもの。お互いが納得する案が出てくれば考えることもあるかもしれない」
―検討・検証委員会の1・8~3・0ヘクタールという病院用地の案がその後広がっているが、決定の経緯は
「いまの病院の必要なものを足すと、最低3ヘクタールとなる。いまの医療水準確保するには専門家からもそういう意見が導かれた。用地の広さには幅があったが、専門的に具体化していくもの。委員会のその後の議論で多くの留意点が生まれている」
―専門委員会で広さの議論はあったのか
「例えば駐車場は300台でいいのかという問題がある。300台は最低で、さらに広く台数を取れば駐車場は広くなる。いまは最低3ヘクタールというところまできている。財政と駐車場をどう考えるかという連立方程式を解かねばならない」
―人工島移転の推進を前提にした説明会になるのか
「総合的に説明をするが、意見も聞く。全く聞かないというのはどうかとなる。議論の前提はアイランドシティだということに変わりはない」
―市内から人工島病院への直接のアクセス方法はどうなるのか
「天神や博多駅で乗り継いで頂ければ、病院の軒先まで行くという形にしたい。構想だが、千早駅からアイランドシティを巡回するようなシャトルバスも考えられる」
豊田伸
▼02 かえりみる」こと知らぬ市長
「かえりみられぬ」市民は不幸(下)
「顧みる」ことなく自身の公約違反を繰り返す福岡市長・吉田宏氏。特にこども病院の人工島移転問題をめぐっては、患者家族や市民の反対意見に耳を貸さず、「なにが何でも人工島」の姿勢を崩そうとしない。こどもの命より博多港開発や銀行との関係が大切らしい。
吉田氏のマニフェストをひも解けば、次のような文言が並んでいる。
「現市政(注・山崎前市政のこと)に対する不満として『われわれの意見を聞こうとしない』というものが多かった。・・・略・・・①市民の身のまわりの問題。②その時々に話題となっている問題―などについて人々の意見を直接聞き、自分自身が問題について考え、それを市政に反映させる。」
こども病院移転問題は、まさに市民の身のまわりの問題であり、最も話題となっている問題でもある。しかし、吉田氏はこれまで直接市民の意見を聞こうともせず、移転候補地を人工島に決めてから「説明」だけに出向くという。市政が「顧みた」のは、小役人の姑息な「はじめに人工島ありき」の声だけである。
さらにマニフェストの<公共事業の見直し>には、「スクラップアンドビルドではなく、すでにあるものを活かす」と記されているが、こども病院についてはこうした創意工夫をした形跡すらない。どこまでも吉田氏の公約は軽い。
知り合いのマスコミ関係者に、「吉田さんのマニフェストには『新空港は必要ないことを明言する』と書いてあるけど、いつ明言するのかな。」と聞いてみた。「えっ!」と驚いていたが、「どうせ自分の公約なんて覚えていないんだろうから」とあきらめの言葉が返ってきた。自分の公約を「顧みない」首長は気楽なものである。
「省みる」姿勢も皆無
公約違反もさることながら、自身の選挙で暴力団関連企業から事務所を借りておきながら、説明責任を放棄、「民主党県連に聞け」といい続ける。
後援団体の「ふくおかFUNクラブ」をめぐる経理上の疑惑については、後援団体の代表も会計責任者も取材にさえ応じず、吉田氏も秘書課を通じ回答拒否。
市長公用車に知人を乗せてまわり、タクシー代わりに使用したことを暴かれても「なにが悪いんだ」と開き直り。
人工島事業の推進を決め、公約違反を責められれば「いまさら海に戻せというのか!」と逆切れ状態。とにかくよく切れる市長さんなのである。「省みる」という姿勢は全くない。「省みる」ことは嫌いだが、「○○省」、つまり中央官庁は大好きらしく、東京出張のたびに「政策決定過程」(市秘書課・談)の一環としてどこかの「省」に出向いているという。ただし、どこの省に、何をするために行ったのかは、教えられないという。
「顧みる」ことも、「省みる」ことも知らない市長。「かえりみられる」ことのない市民は不幸というしかない。
▼03 こども病院人工島移転再考 その13
「こどもが産みにくい都市」になる恐れ
――まずは「アクセス」の問題についてご指摘いただきました。次に、新しいこども病院の機能面については、患者・家族のみなさんにどのような影響があるでしょうか。
久保田院長
まず認識してもらいたいのは、出産における「東京と福岡の違い」です。一番の違いは、東京では出産の8割は総合病院なのです。大学病院とか、日赤病院や聖路加病院などいろいろあります。一方、福岡は全くその逆で、出産の8割は開業医の病院で行われます。福岡市では一年に1万3000~1万4000人の赤ちゃんが生まれますけれど、その8割の約9000人が開業医の病院で生まれています。しかし、開業医はだんだんと高齢化し、後継者不足になりつつあります。後継者がいるのは半分くらいではないでしょうか。
そういった意味では、こども病院の周産期医療は通常分娩も少し意識しなくてはならないはずなのですが、聞けば、こども病院の周産期医療は、救急医療のみをやるという話になっています。10年先、果たして、福岡市におけるお産は果たしてどこでするの、という心配が残ります。
鹿児島に「鹿児島市民病院」という病院がありますが、救急医療も正常分娩もやる、なおかつ、市のど真ん中にあるので、人がどんどん集まってきて、大変な黒字です。何が言いたいかというと、結局、救急医療だけでは採算がとれない、黒字は望めない、ということです。
開業医の立場からしても、患者さんの容態が悪化したときに、時間のかかる場所にはとても送れません。「元気に助ける」という本当の意味での救急にならないからです。徳洲会病院、九大病院、福大病院といったところに送ることになり、こども病院はとても救急の目的を果たせなくなるでしょう。
――結果、さらに経営は悪化することになる、というわけですね。また、通常分娩のことも考慮に入れなければ、福岡市は将来「こどもが産みにくい都市」になる恐れすらあるということですね。
日下部晃志
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