▼01 問われる議会の良識
こども病院人工島移転問題 決着は9月議会
▼02 なぜマックを食べさせるの?
小学生向け地下鉄乗車券に違和感
▼03 こども病院人工島移転再考 その15
人工島移転よりやるべき医療政策がある
▼01 問われる議会の良識
こども病院人工島移転問題 決着は9月議会
自らのマニフェストも顧みず、患者家族や市民の声に背を向けてこども病院の人工島移転を決めた吉田市長。「検証・検討」が茶番だったことは、市長自身が「新こども病院」の用地拡大を公言し始めたことが証明してしまった。
なにが何でも人工島、しかも、わざわざ博多港開発の土地を税金で購入するという。つまりは銀行への血税投入を死守するための狂った市政ということだ。ついに、患者家族や市民の「こどもの命を守りたい」という願いを叶えられるのは、「市議会」だけになってしまった。
現在、こども病院の人工島移転に反対を表明しているのは、共産党福岡市議団、ふくおかネットワークなど少数会派ばかりである。自民党、公明党、みらい福岡などは態度を明らかにしていない。
市側と保守系会派の間で、病院用地として4ヘクタールを取得することで妥協を図る「闇交渉」が存在したことや、「自民党は市長案を否決しない」といった情報を報じてきたが、こうした背信行為が幻で終わることを祈りたい。
公約を守らず、市民を裏切り続ける市長に「NO」を突きつけられるのは、市民の負託を受けた市議会議員のみである。同時に、患者家族の「こどもの命を守りたい」という切なる願いをくみ上げるのも市議会の使命であろう。
車でしか行けない人工島に、子供を連れて行くことの困難が予想される地域は多い。市議それぞれの選挙区から、人工島までタクシーに乗ってみればすぐに分かることである。夏休みを迎えるこれから、人工島内や周辺道路の通行にどのくらい時間がかかるのか、理解するよい機会が訪れる。
体験してみて、市が説明するバス運行程度で問題が解消するのかどうか、判断してもらいたい。「話は分かるが、こども病院の建替えは急務なので、会派としては人工島移転を容認するしかない」とでもいうのなら、議員バッジをはずすべきである。そんなものは政治判断でもなんでもない。
市民の声、税金の重みを理解されているはずの議員諸氏が、間違った市政運営に手を貸すはずはないと信じたい。
こどもの命も守るための最後の砦、福岡市議会。63名の議員たちの良識が問われようとしている。
▼02 なぜマックを食べさせるの?
小学生向け地下鉄乗車券に違和感
福岡市交通局は、夏休み期間の7月19日から8月31日まで、小学生が100円で市営地下鉄全線に乗り放題の「ちかまるきっぷ」を発売する。切符にはもれなくマクドナルドのハンバーガーの無料引換券が付いてくることもあって、利用者は年々増えているという。しかし、である。子どもが地下鉄に割安で乗ったうえ、なぜマックのハンバーガーを食べなければならないのか…。違和感を覚えるのは私だけだろうか。
市交通局に経緯などを聞いた。
――「ちかまるきっぷ」はいつから販売しているのか
「平成17年度から販売しています。春、夏、秋の長期休暇の期間に販売しており、今年で4年目です。空港線、箱崎線、七隈線の地下鉄全線が1日乗り放題となるお得な乗車券で、子どもたちに地下鉄に親しみを持ってもらうのが狙いです」
――地下鉄に親しんでもらおうと切符を安くするのは理解できるが、なぜマクドナルドの引換券が付いてくるのか
「私どもは地下鉄の乗車につなげたい。マクドナルドさんも商品のPRになるということで、開始当初からタイアップ企画として、夏はハンバーガー、春はドリンク、冬はポテトを無料で提供して頂いています」
――100円で乗り放題、しかもハンバーガーまで付いて採算は合うのか
「ハンバーガーはマクドナルドさんのご提供ですので、市交通局の負担は発生しません。また、小学生だけで利用するのではなく、保護者さんなどと乗車されるので、そうしたお客さまへの広がりもあります」
――どちらが話を持ちかけたのか
「私ども(市交通局)からです。100円で切符を販売するにあたって、何かもっと喜んでもらうものはないかと考え、話を持ちかけました。マクドナルドさんでないとだめということではなく、100円の乗車券に合うものをと考えてのことです」
――マックの引換券が付いてくることに批判はないのか
「これまでには、食育の問題に関して1度か2度ほどご意見を頂いたことがあったかと思いますが、多くの方は喜んで頂いていると思っています」
――地下鉄に親しみ、マックにも親しむ。個人的には違和感を覚えるが
「ハンバーガーを毎日続けて食べるとなると食育の観点から問題もあるでしょうが、ほとんどの方は期間中に1度か2度の利用だと思います。特に問題があるとは考えていません。私どもは100円の乗車券を買ってお得になるというほかは、深くは考えていませんでした」
※ ※ ※
もうすぐ夏休み。子どものころ通ったプールや家族で旅行した先の景色は、今でも鮮明に覚えている。そんな夏の光景とともに、私はかき氷やスイカの味を思い出す。地下鉄に乗る子どもたちは、地下街のにぎわいとともに、マックの味を思い出すことになるのだろうか。
企業が戦略として子どもに味を覚えてもらおうとする取り組みは理解できる。食育の問題もあるだろうが、ここでファストフードを悪者にするつもりはない。ただ、安易に子どもの消費欲をかきたてるPR戦略に乗っかる市交通局のアイデアには、疑問を禁じえない。
豊田伸
▼03 こども病院人工島移転再考 その15
人工島移転よりやるべき医療政策がある
――こども病院を人工島に移転し、機能を拡張することよりも、もっとやるべき医療政策が福岡市にはあると講演等でおっしゃっていますね
久保田院長:
これは、福岡市だけでなく日本が抱えた問題でもあります。日本の周産期医療は世界一のレベルだと言われています。何をもって世界一かというと、お産のときにお母さんが亡くなる「母体死亡」、赤ちゃんが亡くなる「周産期死亡」が日本は一番少ないのです。ただ、その裏で、原因不明の発達障害(※)が1995年くらいから急速に増えてきています。
福岡市の資料【写真】によれば、平成元年が33人だったのに対して、昨年は263人というようにこの20年で8倍に増えています。そして、この傾向は都市、地域によってばらつきがあります。発達障害が多いところと少ないところが極端なのです。今のところ「遺伝的な要因」が原因だとされていますが、もしそうならば、全国的に一律の傾向が出ていないとおかしい。
今、日本は国民医療費の増加、少子化、産科医不足など医療に関わる問題でいろんな対策が講じられていますけれども、その対策に「ボタンの掛け違い」が起こっています。
例えば、産科医不足が大変問題になっております。そこで国は医療政策として医師を増やそうとしていますが、医師が増えても、また患者が増える。患者が増えればまた医師が不足するという「いたちごっこ」になるでしょう。これを繰り返すうちに、国民医療費もさらに増大するでしょう。悪循環なのです。
産科医不足も、医療費の増大もその元は病気になる人が増えているからです。病気が増え、医師が不足するようになっているのだから、要は病気にならないようにすればいいのです。大事なのは予防医学であって、周産期医療でいえば、まず一番大事なことは「元気な赤ちゃんが生まれる」ということなのです。
※発達障害
乳児期から幼児期にかけて様々な原因が影響し、発達の「遅れ」や質的な「歪み」、機能獲得の困難さが生じる心身の障害を指す概念で、学術的には知的障害(精神発達遅滞)を含むが、一般的には知的障害を伴わない軽度発達障害だけを指す場合もある。
日下部晃志
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