《失速か!新福岡空港建設/国土交通省の発表》
国土交通省の福岡空港総合的調査専門委員会(委員長/森地茂・政策研究大学院教授)が、6月30日に東京都内で開かれやがて離発着回数が容量限界を迎えるとされる福岡空港の対策案を示したという。ところが、この日の発表の内容が乱気流となって新空港の建設を悲願とする福岡都市圏の経済界を慌てさせているらしい。
ふるさと福岡・博多を離れてカナダ・バンクーバーに居を構え、酔狂にもネーティブアメリカンの言語研究とカナダ人に合気道を教えるようになって20年が経とうとしている。
おりしも、ふるさと福岡・博多は全国的に有名な博多祇園山笠の最中で、勇ましい博多っ子のかけ声とともに「山笠」が勇壮に町中を駆け回る季節だ。私も、福岡を離れる最後の年の夏には「赤手ぬぐい」という、そう、軍隊でいえば近衛兵に列せられる名誉に匹敵する位をいただき「赤手ぬぐい」を額に、まわし姿で博多の町を駆け抜けた。
同窓の友人のなかには、福岡・博多を代表する老舗の大店を継いでいたり、県会議員になっていたりしているやつもいる。彼らからすれば、そんな冷めた目で見るなよと言われそうだが、時差にして17時間のバンクーバーからふるさとの政財界を包み込む乱気流について考えてみた。
《PIへの政財界の反応》
ふるさと福岡の空港、福岡国際空港は、その混雑が激しく、限界と言われる14万回だかの発着回数に間もなく到達するといわれている。その対応策として新空港の建設が必要か、現在の空港を拡張し2本目の滑走路を建設するかという議論がここ4年ほどつづけられている。
今日までその議論の中心となってきたのが国と福岡県、福岡市で構成された福岡空港調査連絡調整会議が主催しておこなってきたPI/パブリック・インボルブメントであった。
福岡空港のパブリック・インボルブメント(以下PI)は、「福岡空港の総合的な調査」について、市民に対して積極的に情報を提供し、意見を収集しながら福岡空港の今後をどうするのか、その方向性を示そうという趣旨で行われてきた。
2005年の夏から行われてきたこのPIは、空港建設という大型公共事業に対する賛否も含めて福岡市民・県民にとって重要な問題であることから地元マスコミも常に注目してきた。
この、PI。新空港建設ありきで、議論を進める福岡都市圏の経済界にとっては、新空港建設に懐疑的な一般市民の声もオープンに反映されてしまうという点で、厄介者であったが、ここにきてある事情からPIこそが議論の主導権を握る鍵となっていた。
田中勝(バンクーバー在住)
つづく
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