▼01 コンセンサス得られない人工島
こども病院・市民説明会で鮮明に
▼02 行政と市民との「温度差」は縮まるか
こども病院・市民説明会の考察
▼03 市長の週間予定表
▼01 コンセンサス得られない人工島
こども病院・市民説明会で鮮明に
市長を出せ――。10日夜、福岡市役所で開かれたこども病院・感染症センターについての市民向け説明会。吉田宏市長は不在だったが、定員を上回る約300人が市役所講堂を埋め、市側の説明のあと約2時間にわたっての質疑が続いた。こども病院の人工島移転に納得できない市民らからは、疑問や不満が怒声となってぶつけられた。参加した市民からは、人工島移転に賛同する声は皆無。人工島移転に対する市民のコンセンサスが得られていない状況が鮮明になった。
「市長がいないと話にならない」「市民や患者がこれだけ反対しているのに、なぜ再検討しようとしないのかわからない。市は弱者を無視し続けるのか」。切実な市民の声をよそに、市側は人工島移転のメリットを強調するばかり・・・。
積もり積もった市民の不満が爆発。「前市長が銀行の圧力に負けてやったことに、現場が押されているだけではないか」「人工島はアクセスや周辺環境が悪い」「ヘリポートを作っても待機時間が出て、救急医療にならないではないか」「市長の公約違反」――
会場は市側を批判する発言のたびに共感の拍手が沸く。いつ終わるとも分からぬ大荒れの説明会の幕を引いたのは阿部亨保健福祉局長。「本日頂いた質問は必ず市長に伝えます。質問などはホームページで公開し、できる限り回答していきます」。なんとも惨めな「聞きたかけん市政」である。
しかし阿部局長は、説明会直後の報道陣の取材に対して「市は7月中に人工島移転の方針を正式決定し、8月には基本構想案の策定とパブリックコメントを実施する予定、9月にも議会に提案することもありうる」と述べた。市民の反対があっても、人工島移転で計画を進める意思は固い。これでガス抜きは済んだと思っているのだろうか。
5日と10日の説明会に出席した患者家族らは、市の姿勢に苛立ちを隠さない。患者家族の女性は「市の言うことはまったく同じことの繰り返し。新しかったのは市民側の質問内容だけ。患者家族は5日にもたくさん質問を出したが、その回答もなかった」と嘆いた。
別の女性は「市の説明は同じことの繰り返しだけど、多くの市民が人工島移転に反対していることがあらためてわかり、ありがたかった。励みになります」と語った。17日には市長が出席し、こども病院で二度目の患者家族への説明会が開かれる。
▼02 行政と市民との「温度差」は縮まるか
こども病院・市民説明会の考察
「市長の公約違反ではないか」「なぜ市長は出てこない。ここに呼びなさい」怒号と喧噪が鳴りやまなかった人工島移転問題説明会。
市民からの質問に対して、市保健福祉局そしてこども病院側は整合性のとれない、説明にならない説明を繰り返すばかり。最後には阿部亨保健福祉局長が「本日頂いた質問は必ず市長に伝えます」と半ば強引に締めた。
終了後の報道陣の取材に対し、阿部局長は「市は7月中に人工島移転の方針を正式決定し、8月には基本構想案の策定とパブリックコメントを実施する予定、9月にも議会に提案することもありうる」と述べ、既定の方針通りに移転を進める考えを示した。これをみればわかるが、福岡市としては、これまで市職員を中心に進めてきた「検討・検証」、そして市長の諮問に対して市病院事業運営審議会(会長=水田祥代・九州大学名誉教授)が出した答申を前提として出した「市の方針」を「市民に納得いただけるように説明する」というスタンスを崩すつもりはないようだ。
市長は行政の長であり市民の代表者
しかし、昨日出席した市民の多くは「市民の納得と合意が得られないものをなぜ押し進めようとするのか」との思いがあり、また「市長の決断次第では人工島移転見直しに道が拓けるのではないか」という一縷の望みをなくしてはいない。昨日の説明会では、止むことのない質問に、市のやり方について不満を持っているのは自分だけではない、ということに大いに勇気づけられたはずだ。
つまり、「既定路線を説明する」行政サイドと「市民の要望との摺り合わせ」を望んでいる市民サイドには大きな温度差がある。質問と回答がまったくと言っていいほどかみ合わなかったのはそのためだ。
17日には患者家族向けの説明会がこども病院において再度実施され、いよいよ市長も出席する。しかし、もし市長が市民との温度差を考えずに、「既定路線を説明する」ことに終始すれば、この温度差は、埋めようのない「大きな溝」にまで転化してしまうだろう。
17日、吉田市長は「市行政の長」としての顔をとるか、それとも「市民の代表者」としての顔をとるのだろうか。願わくば、後者の立場を忘れないでいただきたいものである。
日下部晃志
▼03 市長の週間予定表
(平成20年7月14日~7月20日)
<14日>
14:00 ~ 「大九州圏の経済と観光活性化」フォーラム(ソラリア)
<15日>
追い山観覧(櫛田神社能舞台)
15:00 ~ 定例記者会見(記者会見室)
<16日>
10:30 ~ アジア戦略アドバイザー会議(市政運営会議室)
17:00 ~ 福岡都市圏広域行政推進協議会総会(大観荘)
<17日>
18:30 ~ こども病院・感染症センター患者家族説明会(同病院)
<18日>
11:00 ~ ライオンズクラブ337-A地区からの助成金受け取り(庁議室)
14:00 ~ 姉妹都市委員会(西鉄グランドホテル)
<19日>
10:30 ~ 平成20年度福岡市中体連開会式(九電記念体育館)
<20日>
12:15 ~ 第55回全国水産物商業協同組合連合会全国大会(アクロス福岡)
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