PIで示された現福岡空港に2本目の滑走路を建設する拡張案3案
《PIが呼ぶ空港問題への憶測》
そのPIも、昨年中にはステップ3で具体的な検討案を示す段階まで進んでいた。その内容は現空港に2本目の滑走路を建設する増設案3案と10カ所の選定地を示した新空港建設案であった。増設案が3案示されたのは新設滑走路の位置や長さの違いで3通りとなったものであった。
PIは、その後、今年に入って最終段階であるステップ4へと入る予定だが、今のところ動きが止まっている。
PIが結論を出す最終段階に入ったのを受け、福岡空港問題を県政の重要課題と位置づける麻生渡福岡県知事は昨年の6月県議会で福岡空港の問題は同空港が「福岡県のみならず広く西日本の拠点空港であり、非常に大きな影響を与える大切な課題だ」「来年度(08年度)にも県としての対応案を確立すべく、積極的に取り組む」と発言した。
一方、06年11月の選挙で新聞記者から転身、勝利し現在任期半ばを務めている吉田宏福岡市長は、選挙時のホームページには福岡空港の新たな建設は必要なしとする記述を行なっていたが、その後、その記述を削除していたことが市議会で指摘されるなど、これはまた違ったレベルでバンクーバーに住む私にも話題を提供してくれている。
この4月には県内71企業で構成する新福岡空港促進協議会(会長/鎌田迪貞・九州経済連合会会長)が、現空港増設案では発着回数の大幅な増加は望めない。問題の抜本的解決のためには新空港の建設よりほかに道はないという見解を示した。
5月に入ると今度は、福岡商工会議所の福岡空港過密化対策を検討する「新福岡空港問題特別委員会」(委員長/久保長副会頭・コカ・コーラウエストホールディングス顧問)が新空港の建設を支持する方針を固め、国や福岡県などに要望書を提出することを決めた。
これら、一連の動きは新空港建設となれば500億円とも600億円とも言われている民間負担に対する覚悟を地元経済界が示し、新空港建設の方向へと国を誘導するという狙いと、08年度中に福岡空港の対応案を県として確立するとする麻生知事が、これまた新空港建設の方向で意思決定を行なうための露払いを行おうという意味合いがあるものと観測された。
田中勝(バンクーバー在住)
つづく
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福岡空港調査連絡調整会議 http://www.fukuokakuko-chosa.org/
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