――驚いたことですが、鹿島市の桑原市長とお知り合いになられたのは、新幹線問題がきっかけだったということですが。
田中 最初は私も「ガタリンピック」をやられている市長だなという認識ぐらいで、長崎本線存続期成会で頑張っている姿を拝見しても他人事のように思っていました。しかし、直接お会いをし、勉強していくなかで市長の並々ならぬ決意に感銘を受け、反対の意思の強さに驚かされました。こうして桑原市長とは「盟友」といわれる間柄になりました。さらに、県との交渉の過程でこの新幹線ほど「無駄な公共事業はない」という気持ちを強めていきました。鹿島と江北が反対を貫けば絶対同意が取れないので新幹線は着工できないという思いで反対を続けてきました。
すでに着工されましたが、今度の予算にしても10億円で、調査費くらいですから、1~2年の間に何とかならないかと期待はしているのですが。またJRにしてもフル規格だったらやりたいでしょうが、今のままの形でいったら黒字になるわけではないし、さらに長崎本線にも毎年1億円ずつ負担するわけですから非常に厳しい状況にあるのではないかと思います。政治の力に押し切られた形ではないでしょうか。
2、住民意識の地殻変動
――テレビの「サンデープロジェクト」を観ていて、これだけの戦いをされていたことに感銘してぜひお会いしたいと思いました。さらに合併もせずに頑張っておられ、町長選挙でもあれだけの支援がされていますし、住民意識が大きく変化しているのを感じます。
田中 私は自民党の党員ではありますが、町民も党派にこだわらず政策に対しての意思表示をするようになって、江北町民の政治意識も変わってきたと思います。昨年の参議院選挙でも民主党が勝つとは思っていませんでしたが、佐賀県の20市町の7~8割で民主党の候補者が自民党を上回りました。民主党が大好きというわけではありませんが、政権が交代すれば、そこに活性化が出来て生活できるということを認めていることは確かでしょう。
―――先行きに危機感を持ちながら、いい意味で政治意識が成熟していると見ていいのでしょうね。
田中 そうだと思います。無駄遣いの問題が噴出していますが、これも政治に対する不信感の表れだと思います。官僚のせいだけではなく。
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